スムースレザーで統一された履き口、180ならではの仕様

J.M. Weston(ジェイエムウェストン)の180は、長年にわたって支持を集めるシグニチャーローファー。
このモデルの特徴のひとつが、カウンターライニングにまでスムースレザーが使用されている点です。
一般的なローファーは、かかとの抜けを防ぐためにカウンターライニングだけスエードを使うことが多い中、スムースレザーで統一された仕様はこのモデルならではと言えます。
それゆえに、残念ながら私の足型には合いません…
足との相性が合う方には非常に魅力的な一足ですが、カウンターライニングは摩擦による消耗が起きやすい箇所でもあります。

今回ご相談いただいた靴も、以前に一度カウンターライニング修理が施されたものでした。
写真は当て革を剥がした後の状態です。
選択肢は3つ。それぞれにメリットとデメリットがある

J.M. Westonの履き口は、テーピングとライニングが「縫い割り」仕様、つまり互いに革の端を折り返して縫い合わせた構造になっています。
この仕様がカウンターライニング修理を複雑にする要因のひとつ。
私のところでは、対応可能な修理方法は主に3つあります。
※写真がないのでわかりづらいと思いますが…
①接着+トップラインをミシンで縫いどめ
修理箇所に革を当てて接着し、トップラインをミシンで縫いどめる一般的な方法です。
しっかり固定でき、通常料金でのご案内が可能です。
ただし、元の仕様にはないステッチが履き口のアッパー側に露出します。
②接着のみで固定
当て革を接着のみで固定する方法です。
外観は元の仕様に近い仕上がりになりますが、トップラインから剥がれてくる可能性が高くなります。
今回ご相談いただいた靴は、前回この方法で修理された当て革が剥がれた状態でのご依頼でした。
③テーピングのステッチを外し、当て革を折り返して縫いどめ
テーピングのステッチを一部外し、縫いどめた当て革を折り返して接着する方法です。
外側からはステッチが見えにくく、固定の強度も確保できます。
ただし、ライニング内側に一部ステッチが出ます。
困ったことに、どの方法を選んでも何らかの妥協が伴います…
ですので、最終的な判断はオーナー様のご希望次第となります。
内側のステッチを許容できるなら、③がおすすめ

今回は③の方法を選択しました。
内側にステッチが出ることをご了承いただける方には、外観と耐久性のバランスが取れた方法かと。
テーピングのステッチを一部外し、当て革を縫いどめたうえで折り返して接着しています。
仕上がりを確認

表にステッチが出ない仕様のため、履いている分には外観上の違和感はほぼありません。
履き口のテーピングへの縫いどめと折り返しにより、トップライン周辺の仕様感もオリジナルに近い仕上がりです。

当て革の端から約2cmほど、ライニング内側にステッチが出ます。
立体物を縫う関係上、製靴とは異なり避けられない部分ですが、これを許容いただければウェストンのカウンターライニング修理においてはこの方法をおすすめしています。
番外編


なお、別の靴で以前に同様の修理を行った事例も参考としてご覧いただけます。
履き口が縫い割り仕様のモデルで、一度解体したうえで同じ手順で作業しています。
当て革が長尺になるため、作業としては難易度の高い部類に入ります。
取捨選択はオーナー様と一緒に

このようにカウンターライニング修理は、選択する方法によってメリットとデメリットが明確に異なります。
どの方法が最善かは、オーナー様が何を優先するかによって変わります。
仕上がりのイメージをしっかり共有しながら、最適な方法を一緒に選んでいただけるよう努めています。
ご相談はお気軽にどうぞ。
修理料金・納期
料金:カウンターライニング修理 4,400円(税込)/片足
納期:約2週間
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
Trading Post(トレーディングポスト)カウンターライニング補修|履き心地を回復する修理実例
Balenciaga(バレンシアガ)Triple S 修理|破れたライニング補修とVibram7120ソール補強

修理のご相談は、Webフォーム または LINE から承っています。
仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。


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