1年前のビスポークシューズ底付けを振り返る
前回に引き続き、1年前に取り組んだビスポークシューズ製作のお話。
底付けを含め、一通りの作業を終えたあと、せっかくなら最後の仕上げは自分ではなく専門の方にお願いしたいと思いました。
そこで伺ったのが京都の靴磨き店、HARK KYOTOです。
HARK KYOTOで完成を迎える

靴好きの方であればご存知の方も多いでしょう。
京都を代表する靴磨き店のひとつ。
私自身もこれまで何度かお伺いしており、今回もブログ掲載の許可をいただいたので少しだけ店内の写真を。
落ち着いた空気が流れる店内は、京都らしい穏やかな雰囲気。
私は京都の大学に通っていたこともあり、学生時代はこの街で暮らしていました。
今でも京都は時折訪れている特別な場所。

店内には思わず足を止めてしまうようなヴィンテージシューズも展示されていました。
どこの靴なのかは、ぜひ実際に足を運んで寺島さんに聞いてみてください。
私も初めて見る代物で、しばらく見入ってしまいました。
靴磨きのプロに託す

申し訳ありません…!
掲載している磨きの写真は今回のビスポークシューズではなく、別の靴をお願いした際のものです…
さて、私はあまりギラギラとした鏡面磨きが好みではありません。
ただ、せっかくプロに磨いていただくので、光沢の強弱による自然なグラデーションで立体感を引き出していただくようお願いしています。
実に曖昧な注文なのですが、いつも期待以上の形で応えてくださいます。
そして個人的に毎回驚くのが、その仕上がりの持続性です。
寺島さんの磨きは本当に長持ち。
履き込んでも艶が急激に痩せず、自然な表情を保ってくれる印象があります。
理由を理屈で説明することは難しいのですが、履いていると確かに違いを感じます。
やはり専門として積み重ねてきた経験値は大きいのでしょう。
完成したビスポークシューズ

では、完成した靴をご覧いただこうと思います。
アッパーにはゾンタ社のゴールドアニリンカーフをチョイスしてもらいました。
しなやかさと透明感を兼ね備えた、本当に美しい革です。
今回はコテコテのフルブローグで注文したこともあり、穴飾りの数も非常に多いデザインとなっています。
ここまで装飾性の高い仕様は、既成靴ではなかなか見かけないかも。



ソールにはベイカー社のオークバークレザーを選択しました。
エドワードグリーンやガジアーノ&ガーリングにも採用される、伝統的な製法で作られた英国製のレザーです。
カラス仕上げのため写真では分かりづらいのですが、コバには唐草模様の飾りを施し、ヴィンテージスチールには真鍮のマイナスネジを使用しています。
細かな部分ですが、そうした意匠にもビスポークらしさをね。
修理人として思うこと

今回は初めて取り組んだ作業でもあり、仕上がりそのものについてあれこれ評価するつもりはありません。
それ以上に、この経験そのものが非常に大きな財産になったと感じています。
日頃行っている修理作業も、手先の感覚の積み重ね。
一見すると修理とは関係のないように見える作業であっても、実際にはどこかで繋がっています。
私自身、一修理人として常にオーナー様の期待値を超える仕事を目指しています。
しかし同時に、完璧だと思えたことは一度もありません。
だからこそ、常に新しい経験を積み、技術を磨き続ける必要があると考えています。
修理に直接使わない技術であっても、積極的に手先へ覚え込ませるべきだというのが私の持論。
修理だけを繰り返していても見えない景色があります。
今後はアッパー製作についても、仕事の合間を見ながら取り組んでみたいと思っていたりしますが…
その目的はただ一つ、すべてを修理へ還元するためです。
終わりのない世界ですが、だからこそ面白い。
少しずつでも自分の限界を押し広げながら、これからも研鑽を続けていきたいと思います。
今回の内容は修理事例ではありません。
それでも、私がどのような思いでこの仕事と向き合っているのか、その一端が少しでも伝わっていれば幸いです。
今後とも当ブログをよろしくお願い申し上げます。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
ビスポークシューズの底付け工程【前編】|修理人が初めて製靴に触れた記録

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