Balenciaga(バレンシアガ)Triple Sのカウンターライニング補修とソール補強

ダッドスニーカーブームの火付け役と言ってよい一足が、Balenciaga(バレンシアガ)のTriple S。
ファッションには流れがありますが、Triple Sは一過性の流行を越えて、もはや定番化したように定期的に見るスニーカーになった印象があります。
存在感のあるボリューム、重層的なソール、ハイブランドらしい強いデザイン。
そのぶん、気に入ってつい履きすぎてしまい、各所にホコロビが出てきたという方も少なくないのではないでしょうか。
今回は、カウンターライニングの補修と、Vibram7120によるソール補強を行いました。
破れたメッシュのカウンターライニングを補修

今回のメインテーマは、かかと内側のカウンターライニング。
メッシュのライニングが破れ、大きく穴が空いてしまっている状態でした。
この部分を完全に取り替えるのは、スニーカーの構造上かなり難しい内容です。
そのため今回は、上から革を当てることで、見た目と足あたりを改善する方法を選びました。
ミシン系修理の記事は、なんだか久々かもしれません。
また、カウンターライニングの破れは、一度穴が空くと周囲のスポンジや生地まで広がりやすく、想像以上に進行が早い箇所でもあります。
縫い修理は、ソール修理とは違う思考回路が必要

縫い修理は、いわゆるソール修理のようにフィニッシャーを使って削る作業とは、また別の思考回路とセンスが必要になると思っています。
ある程度、当てる革の型を取り、形を見ながら切り出し。
そしてこの型取りと切り出しの段階で、仕上がりの9割くらいが決まってしまう…
簡単に言えば、下の写真のように切り出した革のトップラインやサイズが不適切だと、皺が寄った仕上がりになってしまいます。
特にスニーカーは立体的な曲線が多いため、ほんの少し形がズレるだけでも不自然さが出やすい構造です。

正直、何度も失敗した経験があります。
実際、過去には写真のようにトップラインへ皺が寄ってしまったこともありました。
だからこそ、革の厚みや柔らかさ、どこまで覆うか、どの角度で折り返すかなど、細かな調整を繰り返しながら形を探っていきます。
修理のたびに学びがあります。
トップラインを縫い、内側へ折り返して仕上げる

革をただ内側に貼り付けるだけの補修もあります。
もちろんそれで機能する場合もありますが、美観的には少し気になるところです。
今回は写真のように、履き口のトップラインだけをミシンで縫い付け、縫い目を境に内側へくるんと折り返す方法を取っています。
スニーカーは、やはり修理しづらい構造のものが多いです。
ただ、その中でもどれくらい元の作りを修理に反映できるかは、アイディア次第だったりします。
元の構造を完全に再現できなくても、修理後の見え方や履き心地に違和感が出にくい方法を考える。
ここが縫い修理の面白さでもあり、難しさでもありますね。
スエード革でカウンターライニングを補強

文章だけでは少しわかりづらいかと思いますので、仕上がりを見ていただきます。
今回はスエード革での補強です。
補強する範囲は短めに設定しています。
スエードの良いところは、耐久性に加えて、表面の摩擦によって足が抜けにくくなる点。
かかとが擦れやすい方や、履き口まわりに負荷がかかりやすい靴には、相性のよい素材です。
もちろん、元のメッシュとは素材が異なるため、当てた感は出ます。
それでも、穴が空いたままの状態よりは、見た目・足あたりともにかなり良い状態になったのではないでしょうか。
後ろから見ても目立ちにくい仕様に

後ろから見ると、先ほど触れた「縫い目を境に折り返す」という意味がわかりやすいかと思います。
履き口のトップラインに沿って縫い、革を内側へ返しているため、外側から見たときの違和感を抑えやすい仕様です。
Triple Sはボリュームのあるスニーカーなので、細かな修理跡も全体の存在感に紛れやすい部分があります。
遠目から見れば、そこそこ自然に収まっているのではないかと思います。
メッシュ素材で補修する方法もあります

別の修理例になりますが、革ではなくメッシュ素材でカウンターライニングを補修することも可能です。
こちらは何年も前の修理ですが…シューレース付近まで広く覆うような内容でした。
メッシュ補修のメリットは、足あたりがソフトなこと。
そして、元々メッシュライニングのスニーカーであれば、素材感の違和感が出にくいことです。
革とメッシュ、それぞれに得意分野があります。
見た目を優先するのか、耐久性を優先するのか、足あたりを優先するのか。
何を重視するかで選んでいただけると良いかと思います。
Vibram7120でソール補強

最後に、ソール補強。
今回はVibram7120を使用し、Triple Sのソールパターンに合わせて成形しました。
それぞれのパーツを形に合わせて切り出し、接着しています。
これ、とても手間がかかります…
フラットなソールに一枚貼るような補強ではなく、元のソール形状に合わせて細かく分けて貼る必要があります。
そのぶん、仕上がると達成感のある修理です。
ソール補強は、新品に近い状態で行うのがおすすめです。
減りが進んでからだと、補強前の下地調整が増えたり、貼れる範囲が限られたりすることがあります。
また、あらかじめ補強しておくことで、一番減りやすいかかと部分だけを後から交換することも可能になります。
こまめに手を入れることで、長く履き続けやすくなります。
ハイブランドスニーカーも、付き合い方次第で長く履けます

ハイブランドスニーカーには流行があります。
新しいシーズンのものを買い替えながら楽しむのも、もちろんファッションの楽しみ方のひとつです。
(なんなら羨ましいくらい…)
ただ、お気に入りの一足を長く履きたいという方も多いと思います。
Triple Sのような存在感のあるスニーカーは、カウンターライニングの破れやソールの摩耗が出ても、補修によってまだ履ける状態に戻せる場合があります。
買い替える前に、直して履く選択肢がある。
その選択肢を知っていただけるだけでも、靴との付き合い方は少し変わるのではないでしょうか。
お気に入りの一足を大切に履いていただくお手伝いができますので、カウンターライニングの破れやソール補強でお困りの際は、ぜひご相談ください。
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