靴底がボロボロに崩れる原因

今回お預かりしたのは、madras(マドラス)のストレートチップです。
ご相談内容は「靴底がベタつく」というもの。
確認すると、アウトソールに使用されていたウレタン素材が加水分解を起こし、劣化している状態でした。
加水分解とは、素材が空気中の水分と反応し、徐々に分解されてしまう現象のことです。
特に多湿な日本では、履いていない靴の方が湿気がたまりやすく、この現象を引き起こしてしまう。
劣化自体は防げませんが、まだ日頃履いている靴の方がポンプのように湿気を逃がすことができるので、加水分解を遅らせられるというもの…
極端な話、一度も履かなくても劣化は進むため、久しぶりに靴箱から取り出した際に靴底が崩れてしまうことも珍しくありません。
本来はオールソール交換が理想です
このような症状の場合、本来であればオールソール交換が最も確実な修理方法です。
ただ、靴修理では常に理想的な選択ができるとは限りません。
靴の状態やご予算、今後どの程度履く予定なのかによって、修理の選択肢は変わります。
今回はオーナー様とご相談のうえ、劣化したウレタン部分のみを補修し、再び履ける状態まで戻すことを優先しました。
劣化したウレタンを除去

まずは加水分解を起こしたウレタン部分を除去します。
劣化した素材が残ったままでは接着不良の原因となるため、下地を整えながら作業を進めます。
空洞部分を充填

ウレタンを取り除くと内部には空洞ができます。
今回はコルク材を使用し、歩行時の違和感が出ないよう高さを調整しながら充填しました。
充填材に決まった正解はなく、靴の構造や状態によっては薄いスポンジ材を使用することもあります。
今回は作業性を重視しコルクにしましたが、最近はスポンジ材の方がよく使うかも…
ハーフラバーで保護

最後にハーフラバーを装着して仕上げます。
補修した部分を保護すると同時に、ソールの摩耗防止やグリップ力の向上も期待できます。
見た目を大きく変えることなく、実用性を回復させることができました。
応急処置としての選択肢
今回の修理は、あくまで加水分解したソールを延命するための処置です。
オールソール交換と比較すると費用を抑えられる一方で、靴全体の構造を再構築する修理ではありません。
そのため、今後の状態によってはオールソール交換をご提案する場合もあります。
とはいえ、
- まずは履ける状態に戻したい
- できるだけ費用を抑えたい
というケースでは、有効な選択肢のひとつです。
靴修理は、常にひとつの正解があるわけではありません。
今回はオールソールではなく部分補修という選択でしたが、靴の状態やご予算に合わせて、その時点での最適解を探していくことも大切だと考えています。
修理料金・納期
ハーフラバー:4,400円(税込)
ウレタン部補修:1,100円(税込)
納期:約1週間
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
JM Weston(JMウェストン)のローファー修理|劣化ソールに炭コルク充填とハーフラバーで再生
madras(マドラス)トップリフト交換|マーティンオークバークを用いた高品質レザーリフト修理

修理のご相談は、Webフォーム または LINE から承っています。
仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。



コメント