染め替えに至るまで

Aurora Shoes(オーロラシューズ)は染め替えが可能です。
今回は自身が長く履いてきたミドルイングリッシュのモスカラーを、ブラックへ染め替えました。
明るい色から濃い色への染め替えは比較的行いやすい反面、革の状態や油分量によって仕上がりは大きく変わります。
本記事では、実際の染め替え工程と仕上がりをご紹介します。
染め替えの工程

脱色と下準備
染料を定着させるため、革の表面に残った仕上げ剤を除去します。
落としすぎると革を傷め、甘すぎると染料が入らない。その加減を見ながら、丁寧に進めます。
染色前には、革の表面に残った仕上げ剤や油分を取り除く作業を行います。
Aurora Shoesに使用されている革は柔らかく、比較的油分を多く含んでいます。そのため下準備が不十分だと染料がうまく定着せず、反対に脱脂を行いすぎると革本来の風合いを損ねる可能性があります。
黒染めそのものよりも、この下準備の加減が仕上がりを左右すると言っても過言ではありません。
染色
黒の染料を少量ずつ重ねていきます。
色ムラが出ないよう、乾燥と重ね塗りを繰り返しながら色を定着させていきました。
仕上げ
染色後はクリームで保湿します。
乾燥によるひび割れを防ぐと同時に、革の柔らかさを保つ目的があります。
仕上げ後は、モスカラー時よりも引き締まりながら、もともとの質感は残っている状態です。
染め替えを行う際の注意点
染め替えは革靴の印象を大きく変えることのできる修理・カスタムですが、いくつか注意点もあります。
- 一度染めた色を元に戻すことは基本的にできません。
- 革質や元の色によって発色は変わります。
- 深い傷やシミは完全には隠れません。
- ステッチやコバなど、素材の違う部分は染まり方に差が出る場合があります。
天然皮革は一足ごとに個体差があるため、同じ色へ染めても全く同じ仕上がりにはなりません。
そのため、染め替えは新品同様に戻す作業ではなく、今ある革の表情を活かしながら新しい印象へ整える作業だと考えています。
仕上がりと変化

染め替え前後を比べると、見た目はシンプルに黒くなっただけですが、印象は大きく異なります。
革の表面に残るうねりや艶が、黒によってより際立つようになりました。
修理ではなく、自分の好みに合わせて手を入れる行為。
そういう選択肢があることも、革靴の面白さだと思います。
毎日使うものだからこそ、自分が一番落ち着く色で履き続けたい。
そう思わせてくれる一足です。
当時は「黒くなれば十分」と考えていましたが、今振り返ると革の状態や染料の入り方など、もっと細かく見られる部分もあったように思います。
それでも、自分の好みに合わせて手を加えながら履き続けられることは、革靴の大きな魅力です。
修理も染め替えも、単に傷んだ箇所を直すだけではありません。
その靴との付き合い方を変え、もう一度履きたくなるきっかけを作ることも、革靴文化の面白さのひとつだと思います。
修理料金・納期
料金:染め(短靴)22,000円(税込)
納期:約4週間
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
- Aurora Shoes(オーロラシューズ)Middle English かかと傾斜板|摩耗部分のみのピンポイント補修
- Edward Green(エドワードグリーン)旧工場製デッドストックを黒染め|色補正と仕上げの実例

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