ダナー サーマン

ダナーライトは街中でもよく見かけますが、こちらは貴重なモデルであるダナーサーマン。
アッパーにスエードが使われている点が特徴的です。
それにしても、このバランスはやはり格好良い。
いわゆる“男臭さ”がしっかりと残っています。
ミッドソールの劣化とオールソールの判断

今回はオールソールでのご依頼。
写真をご覧いただくと、「かかとだけ補修すれば良いのでは」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
ただ、問題は中間にあるクッション材、ウレタンミッドソールの状態です。
特にかかと周りで顕著に、加水分解が始まっていました。
この状態になると、最終的にはポロポロと崩壊していきます。
そのため今回は、まだ健全なラバーミッドより上は活かしつつ、
ウレタン層以下をすべて作り替える判断を取っています。
基礎がだめでは家が建ちませんから。
靴も同じで、見えている部分だけ整えても本質的な解決にはなりません。
ダナー特有の構造をどう再構築するか

ダナーのブーツは、アウトソール自体は比較的フラットな構造で、
ソール全体の起伏はミッドソールによって形成されています。
特にヒール部分の「ウェッジ」と呼ばれる傾斜のついた土台は、
見た目以上に重要な要素です。
さらに、わずかに反り上がる独特のカーブ。
これらを一つひとつ再現していくことで、靴としてのバランスが成立します。
単なる見た目の再現ではなく、
履いたときの重心や歩行感覚にも関わる部分のため、手は抜けません。
Vibram1276ソール

今回採用したのは、Vibram1276ソール。
元々はVibram148ソールが装着されていましたが、
どちらもダナー純正仕様として採用されるモデルのため、純正仕様の延長として成立する選択です。
街履きに限定するのであれば、ややオーバースペックとも言えますが、
このあたりは機能だけで語るものでもない部分。
ごつくて格好良し、グリップ良し、耐久性良し、これもロマン。
ウェッジとソールの重なり方

事前に作成したウェッジの傾斜ラインと、
Vibram1276ソールの土踏まず部分が自然に重なるように設計しています。
1276ソールは、土踏まず部分がやや薄めに作られているのが特徴で、
148ソールと比べると横から見た際の印象も少し変わります。
このわずかな差が、全体の雰囲気やバランスに影響してきます。
意外と1276ソールの存在をご存じない方も多いため、
ダナーのオールソールをご案内する際には、選択肢の一つとしてご提案しています。
各ブランド、それぞれの靴に対して最適なソールを把握しておくこと。
改めて、その重要性を感じさせられる一足でした。
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