スエードローファーのオールソールカスタム|ビブラムカップソールで再構築

中底が摩耗し穴の開いたローファー。ここから補修と再構築が始まる靴修理の原点を示す一枚。 Blog

友人からのローファーカスタム依頼。

スエード素材のローファーをお預かりしました。
軽くて履きやすいローファーは、季節を問わず活躍する定番の一足。
そのぶんついつい履きすぎちゃう…

修理前の黒スエードローファー。アウトソールを外した状態で、アッパーの形を整えている様子。
劣化し裂けたローファーのソール。長年の使用で底が割れ、交換が必要な状態。

中底の穴埋めと補強

実はこの靴、中底に穴があくほどの摩耗。

中底に穴が開いた状態のスエードローファー。指で押さえると貫通するほど摩耗しており、補修が必要な様子。

インソールとアウトソールの中間に位置し、両側からプレスされ続けるとこうなります。
このままでは歩行にも支障が出る状態のため、まずは中底の穴を丁寧に塞ぎ、靴としての強度を取り戻します。

摩耗した中底を布で補強し、ミシンで縫い留めた様子。耐久性を高める補修作業の一環。

接着跡を隠すサイドカバー製作

もともとの接着跡が外側に残っていたため、サイド部分を新たに革でカバーし、自然なラインに整えました。
アッパーと馴染むよう、同系色の革(テクスチャーの特殊な表革)を選んで仕立てています。

アウトソール取り外し後の底面と、側面カバー用に裁断したスエードパーツ。カスタム準備工程の一部。

軽快さを残したカスタム仕様

今回は「軽快さはそのままに、少し遊びを」というご要望。
軽量でグリップ力の高い Vibram(ビブラム)製カップソールを採用し、
街歩きから少し荒れた路面まで幅広く対応できる仕様に仕上げました。

VIBRAM 762K FELL RUNNINGカップソールで再構築された黒スエードローファー。
VIBRAM 762K FELL RUNNING

また、底付け時にはスニーカータイプのラストを使用。
Vibram製カップソールに沿いやすいよう設計されたものです。
テンションを内部からかけ靴の形を崩さず、特に中底にしわが寄ってしまわないようにする役割があります。

仕上がりと印象

Vibramカップソールで再構築された黒スエードローファー。厚みのあるソールが自然に馴染み、上質な仕上がりを手にした完成品。

黒スエードの柔らかさに、ラバーの力強さを掛け合わせた一足。
軽快でありながら存在感があり、「履きやすさ」と「見た目の新鮮さ」を両立したカスタムとなりました。
なによりローファー×スニーカーソールって今っぽいでしょう?


友人にカスタムしたローファーを履いてもらい撮影したポラロイド。修理を通じて靴と人の関係を記録する一枚。

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