プロテクターとしてのダナー

ダナーはモデル名が存外いろいろありますが、これは確かヴァンクーバー。
一目でダナーとわかるこのデザインも素敵ですが、昨今自然災害による被害が目立つ中で、堅牢かつ防水仕様のこの靴はそういった緊急事態でも足元を守ってくれる存在だと思います。
山登りやファッションに限らず、そういった視点からも1足持っておきたい良さを感じますね。

ちなみにオールソール済み。
オリジナル同様Vibram148ソールですが、事情によりミッドソールも含めたソールパーツすべての交換でしたので、それなりの手術になりました…
今回のテーマはシュータンの破れ

しかし今回のテーマは別です。
シュータンの根元が破れてしまっているのです。
このようなアッパーの裂けは元通りにはできませんが、補強して強度を担保したうえで、それっぽくごまかす(語弊がありますが…)という手段を取ります。
まずは仮固定

破れによる革の開きがあると困るので、まずは縫いによる仮固定を行います。
糸色が近ければこれでもよさそうなものですが、圧倒的に強度が足りません。
歩行による圧をなめてはいけませんので…
先ほど申し上げた通り、この手の修理は
①強度を担保
②見た目のそれっぽさ
の2点が重要です。
補強ナイロンテープとジグザグ縫い

続いて補強。
破れた箇所を表裏ともに補強ナイロンテープで覆います。
このテープは縫い修理では必須アイテムで、なんなら製靴の段階でも、革が伸びてほしくない箇所に仕込んであったりします。
とにかく引っ張っても伸びない頑丈さがこのテープの良さで、テンションがかかったがために破れてしまった修理箇所にはもってこいの補修材料。
ただ、このままだと剥がれてしまうので、上からジグザグ縫いを施して固定します。
スエード革をあてがう

次に、補修箇所をそれっぽく見せるために、アッパーと同じスエード革をあてがってゆきます。
どれだけ質感の近い革が用意できるかが大事ですが、なかなか難しいこともあります。
浅草などの皮革産業が盛んな地域が近場にあれば良いんですけどねぇ…
仕上げのステッチ

最後に、あてがった革にもステッチを入れて固定します。
毛足のあるスエード革なのでステッチがあまり見えませんが、良い意味でごまかしが効きやすいとも言えますね。
修理後の仕上がり

遠目から見ると写真の通りです。
知らない人が見たら、最初わからないくらいにはできたのではないでしょうか。
なんならシューレースを通せば隠れる位置なので、履いている分には見えないでしょう。
縫い修理って基本的にオリジナルよりきれいになることはないと思っていますが、その分作業者のデザインセンスが問われると思っています。
正解がない修理は個人的に好きな分野なので、これからもいろいろな例を記事化して皆さまにアピールしたいところ。
この手の内容は靴のデザインや補修箇所によってアプローチが様々で、ケースバイケースでご相談内容に対応いたします。
料金・納期
料金:
・シュータン破れ補修 片足4,400円×2
・オールソール(Vibram148)16,500円、スポンジミッドソール 3,300円、ラバーミッドソール3,300円、ウェッジ作製 3,300円
※すべて税込み金額
納期:
・シュータン破れ補修 2〜3週間
・オールソール 約4週間
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
Danner(ダナー)THURMAN オールソール|Vibram1276で再構築する一足
Birkenstock(ビルケンシュトック)モンタナ オールソール|Vibram148で印象を変えるカスタム事例

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