革靴派?スニーカー派?変わりゆく足元事情

当ブログを見てくださる皆さまは、革靴派でしょうか、それともスニーカー派でしょうか。
もちろんその境界があいまいなアイテムも多いのですが、最近街中を歩いていると、スニーカー着用率がダントツな気がしています。
革靴が好きでこの業界に飛び込んだ身としては、いささか寂しさを感じるところではあります。
ただ、これも時代の流れというもの。
当然ながら、ご相談いただく内容にも変化があり、中でもスニーカークリーニングの需要は年々上がっているように感じます。
汚れやシミが気になっても、なかなか自分でやるにはハードルを感じてしまうものですからね。
ヌバックスニーカーの謎の輪シミ

今回のテーマはそのスニーカークリーニング。
しかしながら、ちょっと特殊で、ニッチで、そして厄介な内容です。
お預かりしたのは、ヌバックのアッパーが特徴的なコールハーンのスニーカー。
そして右足の外側には、輪っかのようなシミが浮かんでいました。
お伺いしたところ、雨天時に使用した傘から水滴が落ち、それが原因でこうなってしまったとのこと。
傘の先端から垂れた一滴が、まさかこんな痕を残すとは、オーナー様も予想していなかったはずです。
理由は後述しますが、今回のケースに関してはオーナー様には申し訳ないながらも「元通りの修復は不可」と判断しました。
ただし、質感は変わってしまうものの、トーンを均一に整えることは可能そうだという見立てのもと、今回は少し特殊なクリーニング作業を施すことにしました。
作業内容と、色抜けの正体

具体的な作業内容は企業秘密とさせていただきますが、クリーニング後の状態はこちらです。
全体的に、一段淡いトーンになったのがお分かりいただけるでしょうか。
実のところ「シミ」と聞くと、色が付着してしまったケースをイメージされる方が多いかと思います。
しかし今回は逆で、色が抜けてしまっていたパターンでした。

そしてこの色は、ヌバック革そのものの色というより、最後の仕上げとして薄く吹き付けられたスプレー塗装のようなものだと考えられます。
本来であれば、元通りの質感に戻したいところです。
ただ、色味やグラデーションをオリジナル通りに再定着させるのはこちらの手には余る作業であり、逆転の発想で「全体の仕上げ材を落とし、局所的な色抜けを目立たなくする」という方向で処置しました。
ヌバックはスエードに近い素材のため、クリームを塗るのはご法度。
スエードスプレーもいずれ色が抜けてしまいますので、今回の選択肢からは外しています。
それにしても、雨水でここまでがっつり色が抜けてしまうとなると、メーカーの色止め加工がさすがに甘すぎるのではないかと…
とはいえ憎まれ口を叩いても仕方がないので、こちらは粛々と対応するのみです。
仕上がりとまとめ

一応、シミができてしまった箇所はほとんど分からないくらいにはなりました。
ただ、これはオーナー様が最初から「靴全体のトーンや質感が変わること」を許容してくださっていたからこそ実現できた内容です。
正直なところ、メーカーやモデルによっては、こういった色抜けは珍しいことではありません。
逆に言えば、水を通すことによる色抜け、色移り、素材劣化などは、クリーニング作業のいちばん厄介な部分でもあります。
我々専門家であっても緊張感を伴う作業ですので、知識のないままスニーカークリーニングに手を出すのは、思いのほか危険な側面もあります。
ご相談、ご依頼をいただいた際には、靴の素材や状態をしっかり見極めたうえで、作業内容をご提案させていただきます。
正直なところ、クリーニングは今でも怖さがある作業です。
それでも、皆さまの足元がきれいになるよう、これからもしっかり対応させていただきます。
料金・納期
料金:4,950円(税込)
納期:約1週間
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
ベージュスエードブーツをクリーニング|毛並みを整え質感を取り戻す
SARTORE(サルトル)ロングブーツのカビ処理|白カビ除去とクリーニングで美観を回復

修理のご相談は、Webフォーム または LINE から承っています。
仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。


コメント