オーロラシューズを黒染め

AURORA SHOE CO. Middle English
アメリカ・ニューヨーク州郊外のオーロラという小さな町でハンドメイドされている靴。

このオーロラシューズは私物で、作業のときにいつも履いている一足です。
もともとの色(モス)も気に入っていましたが、ここ数年気付けば黒の靴ばかりを履くようになっていました。
仕事柄、靴の色味ひとつにも自分の軸が表れますし、思い切って染め変えてみることに。

染め替えの肝となるのは「脱色工程」。

革の表面に乗っている顔料や仕上げ材を落とすことで、新しい色がきれいに浸透していきます。
ただし、これは同時に大きなリスクを伴う作業でもあります。
強すぎれば革を痛め、ひび割れや質感の劣化につながる。
かといって弱ければ色がのらない。
その加減が仕上がりを左右する緊張感のある工程。

深みのある黒に生まれ変わり、仕事靴としての存在感がぐっと増しました。

今回のように「薄い色 → 濃い色」への変更、かつスムースレザーであれば染め替えは可能です。
逆に黒から明るい色に戻すことはできませんし、特殊素材ではこの方法は使えません。
「色を変えたい」というご相談を受けるときは、素材や色の方向性が適しているかどうかをまず確認します。

毎日使うものだからこそ、自分が一番落ち着く色で履き続けたい。

そう思わせてくれる一足です。

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