Alden(オールデン)990コードバンダービー|ウェルトから手縫いで作り直すリウェルトオールソール

修理後のAlden(オールデン)990、別バージョンのコバ周り Blog

Alden(オールデン)990コードバンダービー|ウェルトから手縫いで作り直すリウェルトオールソール

Alden(オールデン)990コードバン、修理前の全体の様子

Alden(オールデン)990コードバンダービー。

波打つダイナミックな皺は、いつ見ても格好良いですね。

オールデンが似合わない人なんているのだろうかと思わされるくらい、存在感とファッションへ溶け込む力の強い一足です。

ソールも薄くなってきているので、よりヘビーユースに応えるためラバーソールへチェンジします。

修理前のヒール、ウェルト痩せ

しかしながら、かかとのウェルトを見ると、ステッチが今にも飛び出しそうなくらい幅がなくなっているのがわかりますでしょうか。

この状態でソールを張り付けてダシ縫いをかけ直すと、ステッチからウェルトが裂けてしまいます。

外観がよろしくないだけでなく、ウェルトはアッパーとソールをつなぐハブのような存在。

土台がぐらついては、安心して履いていただける仕様にはできないのです。

なぜウェルトが痩せるのか

ウェルトを解体している途中、古い縫い糸が見える状態

理由はいくつかあります。

今回の靴はトップリフト交換やオールソールなどの修理を経てきたもので、修理のたびきれいに仕上げるため、ウェルトも含めコバをフィニッシャーのやすりでサンディングします。

つまり、修理をくりかえすほどウェルトの幅は徐々に狭くなっていくということ。

ウェルトをいかに削らずに仕上げるかは修理における大事なポイントで、そこまで考えて作業してくれる職人さんは信頼できます。

他にも、ヴィンテージ靴で素材そのものが劣化しているケースや、製品製造の段階でがっつりコバを削られているケースもあります。

あえて申し上げますが、後者は特段クロケット&ジョーンズの靴に頻繁にみられる特徴。

お持ちの方はよく見てみると良いかもしれません。

というわけで、リウェルト作業に入ります。

手縫いでウェルトを組み直す

すくい針と手縫い糸で新しいウェルトを縫い付けているリウェルト工程

先述のクロケットなどのメーカー修理では、オールソールの際にウェルトから再構築することが前提となっているのだと思います。

メーカーが所持している機械なら、ウェルトを靴に取り付けるのは両足で1分ほどのもの。

残念ながら修理屋レベルではそんな機材投資はできませんので、手縫いで作業します。

手縫いは手間がかかり、修理金額も高額。

それでも、もともと空いている穴を拾って縫えるぶん靴へのダメージが少なく、ひと穴ひと穴しっかりテンションをかけられるので、より張りのあるウェルトに仕上がるというメリットもあります。

すくい糸に別の糸を緩衝材として絡ませている工程

私はウェルティングの際、つま先部分は別の糸を緩衝材としてすくい糸に絡ませています。

つま先の急カーブポイントは穴と穴の距離が近く、何かの拍子に穴同士がつながってしまうのを防ぐためです。

リウェルトは高額修理なので、見積もりをお伝えすると基本的に良い顔はされません…

それでも、より長く靴を履いていただくための工夫が詰まった作業なのです。

どうぞご理解を…

仕上がり

修理後のAlden(オールデン)990、俯瞰で見たソールとつま先

ウェルトから交換すると、ソールのゆがみも出にくくシャキッとした印象になります。

コバは平コバ仕様に変更しました。

修理後のAlden(オールデン)990、側面から見たvibram2055ソール

ウェルトは純正同様、立ち上がりのあるスプリットウェルトで、側面にダミーステッチが入ったものをご用意しています。

ただ、この材料が今後手に入らなくなるかもしれず、対応はちょっと考え中です。

修理後のAlden(オールデン)990、ヒール部分のvibram2055ソール
修理後のAlden(オールデン)990、vibram2055ソール面のアップ

ちなみに2055ソールは、ダイナイトソールと並んでドレスシューズで断トツの人気を誇るソール。

粘り気のあるゴム質で、ダイナイトよりグリップ力と耐久性に優れます。

どちらが良いか迷われる方には詳細をお伝えしますので、お気軽にお声がけください。

コバ仕上げの違いについて

修理後のAlden(オールデン)990、別バージョンを俯瞰で見た様子

コバによる印象の違いは結構大きいので、同じオールデンのリウェルトオールソールでも別バージョンをご紹介します。

こちらはレザーソールにハーフラバーをオプションで取り付けたのち、オリジナル通りツメコバ仕様に加工しています。

修理後のAlden(オールデン)990、別バージョンのコバ周り

ウィールによる目付けもより目立ち、オリジナルに近い風合いに仕上がりました。

先にご紹介した2055のようなラバーソールでツメコバ仕様もできなくはないのですが、コバがバサついた質感になるので、今回はオーナー様と打ち合わせの結果平コバ仕様へ変更という経緯でした。

まとめ

ウェルト交換が必要かどうかは、完全に靴の状態次第です。

現物をお預かりした後の本見積の際にしっかり見極めます。

オールソールの際は、仮見積もりから金額変動があるかもしれない、くらいに思っていただけたら幸いです。

履き心地は、見えない場所の仕事で決まります。

ウェルトという土台にどれだけ手間をかけられるか、それがリウェルトの本質だと思っています。

料金・納期

オールソール(Vibram2055) 19,800円
リウェルト 13,200円
※全て税込み価格

納期:約6週間

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