ソールが剥がれた一足から

いきなりショッキングな状態ですが、
靴底が剥がれてしまったご経験、意外とあるのではないでしょうか。
もちろん状態によりますが、そのような場合は再接着での修理が可能です。
ただしソール自体が摩耗しており、再利用に向かないケースも少なくありません。
同じくケースバイケースではありますが、「まだ履きたい」というお気持ちがあるのであれば、心機一転オールソールという選択肢も現実的です。
今回は、レッドウィング891。
ワラビータイプという少し珍しい一足のオールソール修理をご紹介します。
ご要望とソール選定

オーナー様からは事前にいくつか明確なご要望をいただいておりました。
・(レッドウィング基準で)薄めのソールが好ましい
・厚みを出したくないため、ミッドソールの追加は避けたい
・ソールの色は変わっても良い
・現状のような丸みを帯びたコバを再現してほしい
あまり相対したことのない条件が重なっていたため、正直なところ少し悩みましたが、これらを満たせそうな選択肢として vibram377Kソールを採用しています。
軽さと加工性のバランスが今回の条件に噛み合うと判断しました。
以前記事にしたvibram4014ソールとパターンが近く、かつより軽量なモデルです。
今回の難しさは、丸コバ仕様かつ接着のみでの固定という点にあります。
つまり、ソール形状を先に作り込み、そのまま接着して仕上げる必要があります。
通常のように「張ってからトリミングする」という流れとは逆の工程です。
ソール成形という工程

左右差もあるため、それぞれ接着範囲をトレースしながら、コバとして張り出す部分の角を少しずつ落とし、丸みを作っていきます。
今回のようなワンピースソールを丸ごと丸コバに仕上げる経験はあまりなく、作業を進めながら調整を重ねていく形となりました。
レザーソールであればフィニッシャーのカッターである程度の成形が可能ですが、今回はそうはいきません。
ほぼ手作業に近い感覚です。
先に少し触れましたが、このソールを選んだ理由のひとつに「発泡素材であること」があります。
加工の自由度が高く、今回のような形状づくりには適しているためです。
逆に、厚みがあったり不均一なラバーソールの場合、素材の特性上きれいな丸コバを出すのは結構厳しい…
仕上がり

ソールを成形したら、そのまま接着して仕上げに入ります。
文章だけでは伝わりにくい部分ですが、アッパーの接着面には起伏があります。
それにしっかり沿わせて剥がれにくくするため、ソール側の接着面はややお椀型に削り込んで成形しています。
イメージとしては、ソールの中にアッパーがスポッと収まるような構造です。

コバのエッジにはわずかに丸みを持たせています。
全体として柔らかい印象に仕上がりました。
頭を使う工程が多い作業でしたが、仕上がってみるとこの丸みがかわいく見えてきます。
モカデザインとも相性は良さそうですね。
後ろ姿と構造、そして修理の奥行き

後方から見ると、丸みのあるシルエットがより分かりやすいかと思います。
アッパーの接着面も、ソールにやや沈み込むように収まっています。
見た目の整いだけでなく、この収まりが隙間を減らし、引っかかりによる剥がれを防ぐことにも繋がります。
今回のような仕様では、接着面の作り込みも重要なポイントのひとつです。
と、ややマニアックな内容となってしまいましたが、靴の数だけ修理の形も異なります。
今回の一足を通しても、自分自身まだまだ学ぶことが多いと感じさせられました。
space12としての活動を始めてからも、新しい気づきや試行錯誤の連続です。
また面白い事例があれば、記録として残していけたらと思います。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
Red Wing(レッドウィング)8179×Vibram4014オールソール|定番修理orカスタム?

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