ユッタニューマンのシモーネをビルケンソールでオールソール

経年変化を楽しめて、つくりはシンプル。
それでいて、合わせ方によってはしっかりスタイリッシュにも見せられる。
サンダルの中でそうした魅力を高い次元で両立している存在といえば、やはりユッタニューマン。
私自身もユッタニューマンを所有しており、その良さに惹かれたひとりです。
特にシモーネは、アッパーの革の面積が比較的広く、サンダルでありながら革靴の延長のような感覚で取り入れやすいモデルだと思います。
気温が上がってくるこれからの季節は、自然と出番も増えてくるはずです。
今回は、そんなユッタニューマン シモーネのオールソール修理をご紹介します。
ビルケンソールならではの軽さは魅力

ユッタニューマンは、レザーソール仕様でない個体であれば、ビルケンソールが装着されているものが多く見られます。
このソールの良さは、まず軽さです。
ビルケンシュトック由来の軽快な履き心地は、サンダルというアイテムと非常に相性が良く、足元に余計な重さを感じさせません。
気軽に履けて、それでいてラフになりすぎない。
一方で、弱点を挙げるなら、やはり摩耗の早さでしょう。
日常的にしっかり履いていくと、どうしてもソールは減っていきます。
特にこれからの時期は着用頻度も上がりやすいため、気づいた頃には交換のタイミングを迎えていることも少なくありません。
今回は同部材でオールソールを

今回は、元の雰囲気を崩さないよう、同系統のビルケンソールを用いてオールソールを行いました。
作業内容そのものが特別に派手というわけではありませんが、ユッタニューマンならではの注意点はあります。
それが、土踏まず部分のアーチ。
履けばよくわかりますが、見た目以上に立体的な形状。
そのため、単に新しいソールを貼ればよいわけではなく、この起伏にきちんと沿わせながら張り合わせていく必要があります。
この部分の追従が甘いと、履き心地の違和感や、将来的なソール剥がれの原因にもなりかねません。
コバは整えすぎず

コバの仕上げは、毎回悩むところです。
ただ、私は一律に同じ着地を目指すのではなく、その個体がここまで積み重ねてきた経年変化を見ながら判断するようにしています。
フィニッシャーで整えていくと、革の断面はどうしても熱を持ちやすく、焦げが出ることがあります。基本的には、焦げた部分はコバインクの乗りにも影響するため、基本的にはあまり歓迎される状態ではありません。
実際、均一な仕上がりを狙うなら避けたい現象です。
ただ今回は、そうした色ムラまで含めて全体に馴染んでいくと判断しました。
無理に均しすぎるよりも、このサンダルがもともと持っている表情に寄せていくほうが自然に見える。そう考え、やや焼けた質感も排除せずに仕上げています。
仕上がり

真新しいソールが付くと、全体がぐっと引き締まって見える。
これは毎度のことですが、やはり気持ちの良い変化です。
摩耗した状態では少し頼りなく見えていた足元も、交換後は輪郭が戻り、履き物としての安心感もはっきり感じられるようになります。
これからの季節に向けて、また気兼ねなくしっかり履いていただける状態になりました。
サンダルは着用頻度が上がるぶん、足元の印象にも直結しやすいので、こうして整うと見え方まで変わってきます。
コバ処理について

コバの色味については、実物は写真よりももう少し暗めの印象です。
今回はダークブラウンのコバインキをベースにしつつ、仕上げに黒のワックスを重ねています。
狙いとしては、フットベッドの深い色味や質感に自然につながること。
新品らしく整えながらも、足元だけが浮いて見えないように意識しました。
ユッタニューマンのようなサンダルは、ソールだけ綺麗すぎても少し違和感が出ることがあります。
そのため、全体の空気感を見ながら色の落としどころを探っています。
また、土踏まずのアーチも崩さず、元の立体感を損なわない形で修理できました。
見た目だけでなく、履いたときの感覚も含めて元の印象に戻していくことが、この手の修理では特に大切だと思います。
色々な仕様での提案が可能です

もちろん、元々レザーソール仕様のユッタニューマンに今回のようなビルケンソールを装着することも可能です。
また、今回のようなオールソールでも、純正に近い部材だけでなく、あえて別のソール材を選ぶこともできます。
どの方向が正解になるかは、見た目を優先するのか、軽さを求めるのか、耐久性を重視するのかによって変わってきます。
だからこそ、その靴やサンダルの雰囲気を見ながら、デザインと機能性の両面から考える必要があります。
ご希望のイメージがあれば、そこに向けてできる限り具体的にご提案します。
知識と経験を総動員しながら、一足ごとに無理のない落としどころを探っていきます。
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