レッドウィング 8179

レッドウィング 8179 6インチ クラシックモック。
もはや説明不要のド定番です。
今回お預かりした一足も、良い塩梅に履き込まれています。
アッパーの皺は深く入り、モックトゥの立体感も落ち着き、革は柔らかく足に馴染んでいる。
オーナー様の歩みがそのまま刻まれた表情です。
そういえば、これまでワークブーツの記事をあまり書いてこなかったことに、ふと気付きました。
ワークブーツ専門を掲げる修理業者さんも多く、私のところにはあまり需要がないかもしれない――そんな気持ちがどこかにあったのも事実です。
それでも基本はオールジャンル対応。
その立場からレッドウィングをどう扱うのか、どんな言葉で説明できるのか。
ある意味で試している感覚もあります。
トラクショントレッド・ソール

8179の純正ソールはゴム入りEVA(発泡系)。
スポンジより張りがあり、フルラバーよりもクッション感があってやや軽い。
その性質上、フルラバーに比べると摩耗は早めです。
エッジは丸まり、接地面は滑らかになっていきます。
部分補修も可能ですが、このタイプはアウトソールを一度剥がし、新しいものに交換するのが一般的です。
Vibram4014

今回使用したのは定番のVibram4014。
この靴のためにある、と言っても良い修理部材です。
純正に限りなく近い外観、元の履き心地を損なわないゴム配合。
重量バランスもほとんど変わらず、履いた瞬間も違和感がありません。
「戻す」という意味では最適解。
それは修理の基本でもあります。
今回はミッドソールを残し、アウトソールのみを交換。
言葉にすればシンプルな内容です。
完成した姿

履き込んだ革と、新しいアウトソール。
このコントラストは、修理しながら履くことでしか得られない面構えです。
重量はほぼ変わらず、シルエットも崩れない。
気分も一新し、また歩き出せる状態になりました。
では、あえて方向を変えるとどうなるか
ワークブーツ自体が靴の中でもカジュアルな部類であること、そしてソールが多層構造であることも相まってか、ソール仕様を大きく変える“カスタム”も定番化しています。

せっかくなので一例。
過去に同じモデルで行った事例を掲載します。
これはレザーアウトソール+ハーフレザーミッドソール+レザーミッドソール構成で再設計したもの。
ドレス寄りの印象へ方向転換。
ヒールはセパレイトタイプでカーブヒール。
前足部に厚みを持たせることでヒール高を確保し、バランスそのものを変えています。
サイドジップ加工も施し、オリジナルとは別の文脈を与えています。

ソール面はクァバーグヒール+CASALIディアマンテハーフソール+トライアンフスチール。
いずれも現在は廃盤となり、今となっては少し懐かしい仕様です。
黒の革紐に付け替え、モカ糸やダシ糸も黒に染め、全体の印象を統一。
同じモデルでも、ここまで方向性を変えることができます。
定番が定番であり続ける理由

ワークブーツのソールカスタムは、もはやブーツ好きの中では定番。
ファッションや用途に最適化した仕様を選ぶことは、履き続けるうえで理にかなっています。
しかし、定番が定番たる所以も確かにあります。
今回のVibram4014はまさにそれ。
唯一無二で安心できる履き心地と、オリジナルに限りなく近い外観。
カスタムという選択は個人的に血が騒ぐ分野でもあり、喜んでお受けします。
それでも、オールソールのタイミングを「自分はこの靴のどこが好きなのか」「今後どう付き合っていきたいのか」と向き合ってみる機会にしていただけると嬉しく思います。
カスタムしたら履き心地に違和感があって元に戻したい、というご依頼も過去に経験したことがあります。
決して安価な内容ではないので、事前によく考えていただけると何より。
派手さはないかもしれません。
ですが、元に戻すという選択もまた、非常に有意義な修理だと感じる今日この頃です。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
Tricker’s(トリッカーズ)チェルシーブーツを純正仕様でオールソール|グッドイヤーソールで“らしさ”を再構築

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