Gavoci(ガヴォチ)V字ハーフラバー施工|フィドルバックの造形を活かす補強設計

Gavoci(ガヴォチ)V字加工ハーフラバーのディテール Blog

ソールの造形を活かす、V字ハーフラバー

Gavoci(ガヴォチ)V字ハーフラバー施工前の俯瞰写真

修理職人たるもの、知識が豊富であることに越したことはありません。
素材、製法、構造、そしてブランドの背景。
どれも仕上がりの精度を左右する要素です。

靴のブランド理解に関しても同様です。
しかしながら、長くこの仕事をしていても、オーナー様からお見せいただいて初めて知るブランドというのは確かに存在します。
今回お預かりした Gavoci(ガヴォチ) も、そのひとつでした。

ガヴォチ1969という名称でweb上にもわずかながら日本語記事が見つかります。
イタリアのブランドとのこと。
情報は多くありませんが、実物を前にすると、その造形への強いこだわりがはっきりと伝わってきます。

Gavoci(ガヴォチ)V字ハーフラバー施工前のソール面の状態

今回の一足は、ソールだけでも非常に作り込みの深い仕様でした。
べヴェルドウェストの立体的な絞り込み、ウェスト部の細かなダシ縫い、そして明確なフィドルバック。

もしこれをオールソールするとなれば、ウェスト部は機械縫いでは難しいだろうな、と想像してしまうほどの仕立て。
既成靴でありながら、どこかビスポークの空気を感じさせる佇まいです。

起伏のあるソールに、直線は本当に正解か

Gavoci(ガヴォチ)V字ハーフラバーの貼り位置を決めている作業工程

このような強い起伏を持つソールは、歩行によって自然とウェスト側がV字状に摩耗していきます。

もちろん、通常通りストレートラインでハーフラバーを施工することも可能です。
しかしその場合、本来接地しない部分にまでラバーを覆うことになり、視覚的にも構造的にもやや冗長な印象が残ります。

そこで今回は、実際の摩耗跡に合わせてハーフラバーをV字加工することにしました。

摩耗ラインに沿わせることで、不要な厚みを抑えながら屈曲を大きく妨げず、接地バランスも自然なまま維持できます。
造形を活かすことは、美観だけでなく機能面にもつながります。

フィドルバックのラインを拾う

Gavoci(ガヴォチ)V字加工ハーフラバー施工後のソール面

仕上がりは写真の通りです。

フィドルバックの鋭いラインを拾うように、ラバー側を加工。
V字の頂点は、ウェストの盛り上がりと自然につながる位置へと設計しています。

Gavoci(ガヴォチ)V字ハーフラバー施工後のコバ仕上げ

接地しない範囲まで無駄にラバーで覆うことなく、外観上も違和感はありません。
ソールの起伏が強い靴にこそ、境目のラインは直線でない方が理にかなっていると感じます。

作業効率よりも、美観と機能の両立

もちろん、ウェストとラバーの境目(通称アゴ)をストレートに処理した方が、作業効率は圧倒的に良いです。

ですが、いち靴好き、いち職人としてダサい仕上がりはいただけない。

今回は張り合わせラインを加工することで、美観と機能を両立できた例かと思います。
基礎的な修理であるハーフラバーも、構造理解と造形への配慮次第で印象は大きく変わります。

すべての修理は、自分の靴だと思って大切に作業させていただきます。

「どうせ張るなら綺麗に」
そう思われた方は、遠慮なくお声がけください。

細かいこだわりやご注文ウェルカムです。

関連記事は下記リンク先をご参照ください。

Edward Green(エドワードグリーン)WESTMINSTER|半カラス仕上げに配慮したハーフラバー修理


工具棚を背景にピースサインをする様子のポラロイド写真

修理のご相談は、Webフォーム または LINE から承っています。
仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。

コメント

タイトルとURLをコピーしました