CONVERSE ONESTAR|思い出の詰まった一足をカップソール仕様で再構築

コンバースのワンスターをお預かりしました。
正直、年代判別には明るくないのですが、見るからに相当履きこまれてきた痕跡をまとった一足です。
アッパーのシワやソールの摩耗に宿る時間の積み重ねは、言葉より雄弁ですね。
少し脱線しますが、私が靴やファッションに興味を持ち始めたきっかけは、中学生のころに買った初めてのコンバースでした。
それまで学校指定靴しか履いていなかったので、「靴が変わるだけで印象がこんなにも違うのか」と驚いた体験は今でも鮮明に覚えています。
当時のワクワク感を思い起こしながら、今回の作業にも向き合いました。
古いスニーカーは修理の難易度が高いカテゴリーに入ります。
ただ、オーナー様の思い出が詰まった一足である以上、その積み重ねを壊さないよう、丁寧に手を入れていきたいところです。
摩耗・硬化・ヒビ…元ソールの限界

今回はオールソール前提でのご相談でした。
元のソールは摩耗が進み、ゴムの硬化によりヒビが多く見られ、実用面でも厳しい状態。
ご要望は、「履ければソール仕様は問わないので、出来る範囲でリーズナブルに直してほしい」というもの。
修理金額の捉え方は本当に人それぞれですが、ご予算の中で最大限長く履いていただける仕様として、カップソールへの載せ替えと革巻きで接合部を処理しました。
見た目・耐久・費用のバランスを鑑み、この仕様が最も現実的な着地点でした。
また、カウンターライニングの劣化も見受けられましたが、今回はご予算の都合上、ソール交換のみに絞っています。
地獄の分解、新ソールの装着準備

古いスニーカーの解体はなかなか骨の折れる作業です。
接着と硬化が進み、古いボンドが層状に残るため、剥がす・削る・均すの工程に時間がかかります。
解体を終えた後は、今回使用する vibram705C カップソールに靴をはめてみました。
以前、ビルケンシュトックのスニーカータイプにも使用したことのある素材で、ソール単体の形状も綺麗です。
しかしワンスターはサイドカバーが幅広く、そのままの状態でソールを接着すると接着跡が露出してしまう。
この段階で「デザインとして成立させるための一手間」が必要になります。
革テープで中間パーツを作り、馴染ませる

こうした場合、革テープを巻くことで接合部を“デザインとして落とし込む”アプローチを取ります。
今回は白のシボ革を選択。
さらに手やすりで表面を荒らし、履き込み感との距離を縮める加工を施しました。
新品ソール × 履き込まれたアッパー。
この両者の中間に位置するのが革テープです。
少しだけヴィンテージ感出すことで、視覚的な“橋渡し”の役割を果たします。
また革テープはキャップ部分とそれ以外で2分割して張り付け、つなぎ目はアッパーのステッチラインを拾ってミシン掛け。
これにより継ぎ目が主張せず、全体のデザインへ自然に溶け込みます。
仕上がりとステッチの存在感


ソール取り付け後、革テープとソール側面に縫いを施し完成です。
スニーカー修理はオリジナル仕様に完全復元できないことがほとんどですが、今回はオーナー様と方向性が一致しており、カスタム要素を含む仕上がりにご満足いただけました。

側面の縫い(いわゆるオパンケ縫い)は、アッパーと調和するイエローステッチを選択。
ステッチひとつで印象は結構変わります。
ソールカスタムについて

ソールカスタムは選択肢が広く、オーナー様自身が「どんな風に履きたいか」をイメージしながら相談できる余白があります。
愛着のある一足を、よりパーソナルな仕様へ引き上げ、さらに愛おしさが増していく。
作業者として、これ以上の喜びはありません。
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スエードローファーのオールソールカスタム|ビブラムカップソールで再構築
NewBalance996(ニューバランス) トータルリペア|ソール交換とロゴ再生で蘇る一足

修理のご相談は、Webフォーム または LINE から承っています。
仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。



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