靴の見えない部分にはご注意を
Birkenstock(ビルケンシュトック)はサンダルの履き心地の良さで知られる人気ブランドですが、今回はスニーカーのご相談。
スニーカーのソール内部にはコルクが敷き詰められており、それらが長く愛用するうちに劣化していきます。
見た目には問題がなさそうでも、実は中のクッション材が崩れているケースも少なくありません。
ソール交換(オールソール修理)によって靴の性能を取り戻した一例をご紹介します。
劣化状態の確認:外見と内部のギャップ
今回お預かりしたビルケンシュトックのスニーカーは、一見きれいな状態。
しかしソールを分解すると、内部のコルク材が粉のように崩れていました。

オーナー様はこの靴をアウトレットで買われたとのこと。
左右で劣化の進行度に差があり、片方だけ極端に劣化していた点から、もともとは展示品として片方のみ倉庫保管だった可能性も。
外見だけで判断できない“見えない劣化”の典型例といえます。
なぜソール交換(オールソール)が必要になるのか
ソールや内部クッションの劣化は、歩行時の安定性に直結します。
部分補修だけでは解決しきれない場合、オールソール交換が有効です。
※ナイキ等一部のスニーカーソールで、劣化した内部のクッション材だけを交換する修理があります。今回も同様に物理的には作業可能でしたが、アウトソールの小窓から内部が丸見えである仕様のため、外観重視でオールソールに至ったという経緯があります。
主な劣化の原因とリスク
| 劣化要因 | 発生しやすい症状 |
|---|---|
| コルクやクッション材の乾燥・崩壊 | 歩行時に沈み込みが強くなる、衝撃吸収が低下 |
| 接着剤の劣化 | ソールの剥離や浮き上がり |
| ウレタン・ラバーの硬化や劣化 | 滑りやすくなる、割れる、崩れる |
こうした劣化は履き心地だけでなく、足や膝への負担にもつながります。
内部が崩れた状態で履き続けるのは、靴だけでなく身体にも負担をかけてしまうため注意が必要です。
新ソールの選定
近しい形状のカップソール「VIBRAM #705C MARBRANI」を選びました。

個人的に写真の白色が推しなのですが、今回は「秋冬でも使いたい」とのご希望により、落ち着いたブラウン系ソールで仕上げることに。
仕上がりと注意点

仕上げ後はソールとアッパーの接合が安定し、履き心地も改善。
ビルケンシュトックのように構造がシンプルな靴ほど、内部の状態が寿命を左右します。
外観がきれいでも「履き心地が変わった」と感じたら、ぜひ一度点検を。
注意点
純正ソールを使った修理ではないため、修理前後の履き心地に変化がある可能性があります。

今回使用したソールはラバーの仕切りにより傾斜、クッション性、軽量化を設計しているもので、純正のようにコルクが詰められたものではありません。
ただし、今回のような中物の劣化はないため安心して履いていただけます。
まとめ
- 見た目がきれいでも内部コルクが劣化していることがある
- ソール交換(オールソール)でクッション性と安定性を取り戻せる
- 内部構造を確認し、素材と色のバランスを考慮することが大切
- 劣化のサインを見逃さず、早めに修理相談を
修理の形はいろいろありますが、大切なのは「また履ける」こと。
靴がオーナー様の日常に戻ってくれると、とても嬉しく感じます。




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