過酷な使用環境を想定したブーツのソール交換

今回はブーツのオールソール修理をご依頼いただきました。
トレッキングあるいはハイキング用途を前提としたブーツと思われ、ソール自体がハードユースを想定した設計。

しかし接着剤の劣化によって剥がれが始まり、さらにソール本体も割れてしまっている状態。
割れてしまったソールは再利用ができないため、近しいデザインと厚みを持つカップソールでオールソールを行う判断となりました。
vibram #142K Snowshoeの選定理由

採用したのはvibram #142K Snowshoe。
靴同様、こちらもハードな用途に適した安心感の高いソールです。
元のシルエットにも馴染みやすい形状であるため、機能性と外観の両立が可能と判断しました。
接着跡を隠すための革巻き処理
カップソール修理では、元ソールの接着跡が露出し仕上がりを損ねるケースが少なくありません。
そのため今回は、アッパー周囲に革を巻き、接着跡を覆ってからソール接着へ進行しました。
見た目を大きく左右する、非常に重要な下準備です。

このブーツは、アッパーと中底を縫い合わせるストローベル製法(スニーカーによく見られる構造)。
実用面での意味は明確ではないものの、そのステッチを保護する意図も込めて革で覆い、接着前の状態を整えています。
接着強度を最大化する下処理

使用シーンを考慮すると、接着強度は最優先事項です。
圧着力を最大化するための下処理を複数段階で行い、素材同士が最も密着する条件を作ってから装着しています。
瞬間接着剤で一気に貼り付けるイメージとは異なり、時間と手間をかけて仕込む修理です。
自然な印象を保ったまま機能を回復



元のブーツの印象に近いカップソールを選んだこともあり、完成後も違和感のない自然な見た目にまとまりました。
なお接着修理は各工程で時間が必要となるため、今後ご依頼いただく際は少し余裕のある日程を想定していただけますと安心です。




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