JMウェストン レディースローファー修理

フランス高級靴の代表格といっても過言ではない JMウェストン。
今回はレディースローファーの修理です。
ソール埋め込みパーツの加水分解

レザーソールに埋め込まれているパーツが加水分解を起こしていました。
メーカーの配慮で付いている滑り止めパーツですが、劣化してしまうと履くことも叶わない…

そのため、 以前ご紹介したマドラスのストレートチップ修理 と同様に、まずソールのくぼみを整えてからハーフラバーを張る工程を選択しました。
充填剤に「炭入りコルク」を採用

今回の相違点は、充填剤として炭入りコルクを採用したこと。
これは個人的にハンドソーン靴の中物用途で試していたもので、通常の中物用コルクより「消臭・抗菌・速乾など」に優れるとされる素材です。
通常コルクとの体感差と仮説
実際の所感として、既存のコルク材よりも粘りとクッション感が段違い。
コルクは体重がかかれば潰れて変形するのですが(もちろん中物としてはその性質がベスト)、炭入りコルクは通常のものと比べ、今回のような用途なら反発性の高さゆえアウトソール形状を保ちやすいのではと仮説しています。

今回は自分の靴ではないため長期的な結果は未知数ですが、こうした素材検証を日常業務に織り込むことで、技術と知識の更新速度を上げていきたいと考えています。
ハーフラバー装着で再び歩ける一足へ

写真だとわかりづらいですが、コバの色もオリジナルに限りなく近い質感を再現できました。
ホワイトカーフの清潔感を損なわず、また歩き出せるコンディションに整ったかと思います。




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