Alden(オールデン)Vチップのえぐれキズ補修|カーフならではの自然な仕上げを目指して

えぐれ傷を補修し、着用距離では補修感が判別できない状態になったオールデンVチップ、カーフモデル。仕上がり全体像。 Blog

オールデンVチップ×カーフという魅力

今回取り上げるのは、Alden(オールデン)のモディファイドラストVチップ、カーフモデル。
モディファイド特有の土踏まずの絞りと前足部のゆとりは歩行時の安定感に優れ、ビジネスからカジュアルまで幅広いスタイルに溶け込みます。

オールデンVチップのカーフモデルの全体ビフォー写真

コードバンの人気は言わずもがなですが、カーフは取り回しの良さと天候・シーンの幅の広さが魅力で、愛用者が多いのも頷けます。

えぐれキズ補修の実際

ご依頼内容とキズの状態

オールデンVチップのカーフアッパーに深いえぐれ傷が入った補修前の状態を捉えたアップ写真

不慮の接触により、かかと付近のアッパー表面が“えぐれ”状に削がれたケース。
銀面が剥離し、クレーター状に…
今回は見た目と触感の段差をできる限り馴染ませることをゴールに設定しています。

パテ埋めの難しさ

えぐれ傷部分へパテを充填し、均し作業を行っている途中のオールデンVチップの修理工程
パテ埋め初期段階

工程はパテ埋め → サンディング → 皮革塗料の塗布という流れです。
ポイントは最初のパテ埋め。埋めた部分は周囲より盛っても凹んでもダメで、面を連続させるための“厚みの設計”が難所になります。
使用する充填材はケースバイケースで使い分けますが、革と埋め材では硬さ・反発・触感が異なるため、均一に「面を出す」には根気が必要です。

同じ「キズ補修」でも、革質・厚み・色・欠損量等で難易度が大きく変わります。
今回は想定以上に時間を要しましたが、これは靴修理あるある…

仕上がりについて

オールデンVチップのカーフモデル、かかと部分のえぐれ傷を補修した後の仕上がりアップ写真

近距離で凝視すれば素材差由来のわずかな表情は残りますが、着用距離での違和感は最小に抑えられ、光の流れも自然に整いました。
深い傷跡が解消され、日常使用で気になりにくい状態へ。
オールデンの持ち味である端正なラインを崩さず、実用域で気持ちよく履ける仕上がりになったと思います。

補修かケアか、迷ったら

えぐれ傷を補修したオールデンVチップ、カーフモデルの仕上がり全体を写したアフター写真

キズの補修は手間のかかる作業ですが、ご依頼は少なくありません。
一方で、程度によっては靴磨き(ケア)で十分に整うケースもあります。
最小限の介入で済む方法から、しっかり手を入れる方法まで、靴の状態に合わせてご提案します。


オールデンの革靴と靴ベラが並ぶ落ち着いた空間

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