エドワードグリーンのウェストミンスター

エドワードグリーンが誇るダブルモンクシューズ、ウェストミンスター。
前の記事でも触れましたが、最近どういうわけかグリーンの靴が続いています。
偶然なのか流れなのかは分かりませんが、修理屋としてはありがたい話です。
今回は、そのグリーンの靴にハーフラバーを施工する際によく直面する“ある仕様”について、良い記録が残せたのでご紹介します。
修理前の状態

元のレザーソールは、全体としてはまだ厚みが残っているものの、摩耗は進んでいる状態。
特につま先部分がやや削れ気味で、「今すぐ直さないと危険」というほどではありませんが、このまま履き続ければ、いずれ何かしら手を入れる必要が出てくる頃合いでしょう。
また、この靴は半カラス仕上げ。
高級靴ではよく見られる、ソールが2色で構成された仕様です。
いつも通り、ハーフラバーとレザーソールの境目――業界用語で言うところのアゴを、ストレートに仕上げることももちろん可能です。
ただし、半カラス仕上げの靴の場合、ここで少し厄介な問題が出てきます。
ストレートに切ると、
・ソール前方の明るい色が中途半端にはみ出てしまったり
・逆にそれを隠そうとして、必要以上にラバーで覆ってしまったり
結果として、どこか美観的に微妙な仕上がりになってしまうことがあるのです。
境目を活かすラウンド加工

そこで今回は、色の境目のラインをトレースし、ハーフラバーのアゴをラウンド形状で仕上げています。
正直に言えば、アゴをストレートに切る方が作業効率は良いです。
ですが、やはり「ダサい」はいただけません。
この手法は半カラスの靴に限らず、例えばマグナーニのように、レザーソールの側面がせり上がっている靴でも用います。
ほとんどの靴で、ご希望があればこのラウンド加工は対応可能です。
意匠を引き継ぐこだわり

もう一点、グリーンの靴らしい特徴として、色の境目に元々飾り模様が施されています。
今回はピッチなど若干異なりますが、できる限り近しい表情で再現しています。
機能的には全く必要ありません。
完全に、ただのこだわりです。
仕上がりと所感

仕上がりはいかがでしょうか。
色味や素材感は異なりますが、「元の意匠を一部引き継ぐ」という点では、うまく着地できたのではないかと思います。
ほんのひと手間ですが、美観的な加点は確実に得られます。
通常のハーフラバー修理より難易度は少し上がりますが、こういった部分こそ腕の見せ所。
こだわりの内容も含め、しっかり再現させていただきます。
見えない部分にこそ宿る心地よさ

たかがソール、たかがハーフラバー。
そう言ってしまえばそれまでですが、普段ほとんど目に入らない部分がきちんと整っていると、履いていて不思議と気持ちが良いものです。
歩行性能や耐久性といった実用面はもちろんですが、
「自分の靴がどう仕上がっているか」を知っているという感覚も、靴を楽しむうえでは意外と大切だったりします。
お気に入りの一足は、楽しく履いてなんぼ。
そのための下支えとして、目立たない部分まで整える――
そんな仕事ができていれば、職人としてこれ以上の喜びはありません。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
Edward Green(エドワードグリーン)チェルシー|意匠を崩さず、履き続けるためのオールソール修理
Edward Green(エドワードグリーン)旧工場製レディースの修理|ハーフラバーとトップリフト交換

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仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。


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