フォルメのローファーと、意匠としてのコバ

フォルメのローファーをお預かりしました。
無駄のないデザインに、立体感のあるソールウェスト。
魅力を挙げればきりがありませんが、あらためて良いジャパンブランドだなと感じさせられる一足です。
木型からしっかりと作り込まれており、ファッション好きの方から靴そのものを見ている方まで、近年支持が厚くなってきているのを肌で感じます。
他のラインナップを見渡しても、ありそうでないデザインや、時にエイジングに重きを置いたアッパーレザーの使用など、かゆいところに手が届くブランドという印象です。
今回は新品時の補強として

今回は新品時の補強でお預かりしています。
レザーソールがある限り、マーケットの規模云々はさておき、我々の仕事は残るでしょう。
正直に言えば、この仕事自体はダウントレンドにあると思います。
ただ、必要とされる限りは、きちんと向き合って仕事をしたいですね。
さて、ブログを書く際は、今回のようなベーシックな内容も、毎回少しずつ異なるエッセンスを加えた読み物にしたいと考えています。
本日は「意匠としてのツメコバ」について触れてみます。
ツメコバという意匠

写真の通り、オリジナルのコバはトップラインとボトムラインにわずかな出っ張りがあり、いわゆる「ツメ」のあるデザインです。
高級紳士靴では比較的よく見られる仕様ですね。
このようなソールにハーフラバーを張る場合、主に以下の選択肢が出てきます。
- ツメをできる限り残してハーフラバーを張る
- 接地面側のツメを削り落とし、フラットなコバにする
なぜ悩ましいかというと、修理人の立場としてはオリジナルの意匠は可能な限り残したい一方で、ツメを残してラバーを張ると、どうしてもラバーのエッジが突出しやすくなります。
歩行時にどこかへぶつけた際など、剥がれの原因になり得る点は無視できません。
また、ツメの張り出し方はメーカーによってさまざまで、ほんのわずかしか出ていない場合は、作業上どうしても残せないこともあります。
結局のところ、靴の仕様とオーナー様のご意向次第。
たかがハーフラバーと思われるかもしれませんが、このあたりは事前にしっかり打ち合わせをさせていただいています。
仕上がりについて

というわけで、仕上がりです。
ハーフラバーによるグリップ力と、ヴィンテージスチールによるつま先強度の底上げで、安心して履いていただける仕様に様変わりしました。
補強部材や、かかとのトップリフトを都度交換していけば、長く履いていただけそうです。
今回のコバ処理について

コバに関しては、今回はリスクヘッジも兼ねて、接地面側のツメを落とし、フラットに仕上げています。
現物よりも写真の方が違いが分かりやすいかもしれません、ツメひとつで印象は意外と変わります。
残せるか、残せないかは靴によって本当にまちまちです。
この点については、現物を拝見したうえでのご相談になりますので、ご理解いただけたらと思います。
美観と機能性のあいだで

美観と機能性は、ときに反比例するケースがあります。
私自身、プロとして物理的な限界の見極めには細心の注意を払いながら、オーナー様が一番納得できる仕様になるようご案内しています。
一足ごとに最適解は異なりますが、その靴らしさを損なわない着地点を、これからも丁寧に探っていきたいですね。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
John Lobb(ジョンロブ)Abbott|Vibram 2340ハーフラバーとヴィンテージスチール
Scotch Grain(スコッチグレイン)タッセルローファー|ハーフラバー+ヴィンテージスチール補強

修理のご相談は、Webフォーム または LINE から承っています。
仕上がりのイメージやご希望の仕様がある場合は、写真を添えていただけるとご案内がスムーズです。


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