靴に生えた白カビは除去できる
SARTORE(サルトル)のロングブーツに発生したカビをケアした事例です。

個人的にレディースのロングブーツのなかではタニノクリスチーと並んで好きなブランド。
大人の魅力が詰まった一足だと思います。
そんな素敵な靴も白い“モヤ”のようなものが浮かんでいたら、それはカビのサインかもしれません。
特にソールまわりにカビが出てしまうと、見た目が損なわれるだけでなく、革そのものや内部にダメージを与える可能性もあります。
なぜ革靴にカビが生えるのか
革は動物の皮膚を加工して作られた有機素材です。
表面に残る油分は、革に柔軟性や深みを与える一方で、湿気と結びつくとカビの栄養源にもなります。
保管中に湿度と温度が重なると、油分を好むカビが繁殖を始め、白い粉状の汚れとして現れます。
つまり「油分 × 湿気 × 温度」がそろう環境では、どんな上質な革でもカビのリスクが高まるということです。
今回のサルトル ブーツの状態

アッパーとソールに白い粉を吹いたようなカビが広がっています。
幸いなことにブーツ内部は良好な状態で、重大な侵食はなく一安心。
こうした症例は、見た目上は “表面的なカビ” の段階と考えられ、適切な処理で元の風合いを取り戻す可能性が高いです。
カビ処理後の変化
白カビの段階なら除去が可能ですので、専用のカビ処理剤を用いて全体を丁寧にクリーニング(丸洗い)を。

向かって右がクリーニング直後。
湿っている分色が濃くなっています。

表面の白カビが消え、すっきりと落ち着いた表情になりました。
また、しっかり乾燥させた後には革に潤いを与え、全体を磨き直しました。

コバ部分はカビで色抜けしていたのでインクとワックスを入れ直し、接地面にもオイルを補充しています。
ブーツ本来の輪郭が引き締まり、見栄えが格段に良くなります。
カビをさせないための“ちょっとした習慣”
当たり前ですが、カビさせないことが何よりです。
下記内容を心がけていただけると未然に防ぐことができるかと。
・靴を履いた後、余計な湿気を飛ばすために陰干しや新聞紙吸湿
・長期間履かない靴は、シリカゲルなど乾燥剤を併用
・革靴同士を重ねず、空間を開けて保管
・長期保管前のオイリーなケアは避ける
革靴は湿気にとても敏感です。
置き方や空気の流れを少し工夫するだけで、長く美しい状態を保つことができます。




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