リーガルトーキョーというブランドについて

リーガルトーキョーは、リーガルコーポレーションの中でもパターンオーダーやビスポークを主軸に据えた特別ライン。
海外の本格靴に引けを取らない完成度を備えながら、円安下の現在ではむしろコストパフォーマンスの高さが際立つ存在です。
大衆向けのリーガルとは一線を画す、“わかる人だけが選ぶ” 静かな特別感こそ、このブランドの魅力といえます。
今回のご相談(つま先摩耗への早期対策)

お預かりした一足は、まだ深く履き込まれてはいないものの、つま先の摩耗が気になり始める段階で対策しておきたいというご相談でした。
いったん削れたつま先を正規位置に戻しつつ、今後の摩耗にも備えた補強を行う内容です。
トーラバーという選択肢の有効性
つま先補強ではヴィンテージスチールが定番ですが、トーラバーも非常に優れた選択肢です。
金属音が鳴らず、スチールほど硬くないがゆえの接地感触における違和感も最小限。
ちなみにかかとと違ってつま先に関して言えば、つまづき防止の観点では “適度に滑る” 性質が必要であり、このトーラバー部材はまさにその条件を満たしています。
使用部材の構造と特徴

今回使用したトーラバーは二層構造。
接着面には合成ゴム、接地面には摩耗に強いTPU素材を採用しています。
写真ではわかりづらいですが、部材自体が僅かに傾斜しており、視覚的にも自然につま先へと馴染むよう設計された高機能パーツです。
仕込みと施工の難所

仕込みでは、この傾斜角度を計算に入れた削り込みが必須。
ただラバーをはめ込むだけではコバの修理箇所だけに厚みが出てしまうため、ソール全体と厚みが均一に見えるよう施工を調整します。
作業自体はシンプルに見えますが、見えないところで判断と精度が要求される工程です。
仕上がりと提案

最終的にはレザーソールと段差のない面一の状態へ。
レザーソール本来の柔軟な接地感はそのままに、スチールの硬さや音が苦手な方にも最適な補強方法といえます。
レザーソールの履き心地を楽しみながら、確かな延命性を付加できるバランスの良い選択肢です。




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