レディースパンプスのつま先キズ補修|明るい色でも自然に馴染ませる見極め

つま先のキズを自然に補修し、色と質感が馴染んだポインテッドトーのレディースパンプス正面完成画像 Blog

ポインテッドトーのつま先は、なぜキズが目立つのか

つま先にキズと剥がれがあるポインテッドトートーパンプスを横方向から写した補修前の状態

レディースのポインテッドトーは形状的に先端へ負荷が集中します。
つまずきやすく、そもそもソールが薄いため、軽い接触でも表面の塗膜が欠けたり、下地が露出して色が剥げやすい部位です。
特に明るい色は陰影が少ないぶんコントラストが出づらく、わずかな欠けや毛羽立ちも拾ってしまいます。

今回の状態と方針

つま先の塗膜が剥がれ下地が見えているポインテッドトーのパンプスを正面から写した補修前の状態

つま先に擦過キズと剥離があり、下地が見えている状態でした。
作業の詳細は多くは語りませんが、基本の順序は変わりません。
まずは欠けを埋め、繊維の毛羽立ちを落ち着かせて、面の連続性を取り戻すところから。
土台が整っていないと、どれだけ色を合わせても違和感は大きいです。

色を合わせる、だけでは終わらない調色

つま先キズ補修に使用する資材と、下地を整える途中段階のポインテッドトーパンプス

下地が整ったら、革用の顔料塗料を調色して薄く塗り重ねます。
色味だけを合わせても仕上がりは決まりません。
艶のレベル、透明感、不透明度、乾燥後の沈み、周囲の経年変化との距離感——いろいろな意味で“元の質感”に馴染ませる必要があります。
正解は一つではなく、今でもケースごとに最適解を探り続けています。

明るい色ほど難易度が上がる理由

明るい色は下地の影響を受けやすく、薄塗りでは透け、厚塗りではテクスチャーが崩れる。
厚みを出しすぎると先端が“お粗末な塊”に見えやすいため、塗膜の厚み・艶・エッジの立ち具合を少しずつ整えながら、段差が見えない所までで止めることが大切です。

着地点の見極め

つま先の色と質感が自然に馴染んだ補修後のポインテッドトーパンプスを正面から写した完成状態

補修は「どこまでやるか」の見極めが要です。
100%元に戻ることは残念ながらありません。
日常の距離で自然に見え、かつ再塗装の余地も残す——そのバランスで着地させます。

ご依頼前の注意点

つま先補修を終えたポインテッドトーのパンプスを横方向から写した仕上がりの状態

当たり前の話ですが、ポインテッドトーの先端は再びぶつけやすい部位です。
再発リスク自体を操作することはできません。
修理金額との採算性も含めて、どのレベルまで整えるかをご相談の上で決められると満足度が高いと思います。
まずは状態を拝見し、仕上がりのイメージとリスクを率直にお伝えします。


作業台に並ぶ革用の着色塗料チューブと道具を写したポラロイド写真。アトリエの空気感をそのまま切り取った一枚

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