ロエベのブーツをハーフラバー+スチール補強

ロエベのオブリークトーブーツを、ハーフラバー+スチール補強でお預かりしました。
クラシカルなサイドゴアデザインながら、オブリークトーという変わった一足。
脱線しますが、妻と結婚する前にロエベの品を贈ったことを思い出しました。
恥ずかしながら当時は今より余裕もなく、かなり思い切った買い物でしたが、今となっては良い思い出です…
こうして修理という形でロエベの靴に携われているのは、なんとも不思議な感覚があります。
補強のタイミングが理想的だった一足

今回の靴はおそらく1〜2回程度の着用のため、ソールの摩耗はほとんどありません。
このタイミングでの補強は理想的で、どうせ補強するなら「早め」が最もメリットが多いです。
ちなみにこのブーツはマッケイ製法と呼ばれる底付け方法が採用されています。
マッケイ製法は屈曲性が高く、軽快な履き心地を生み出せる反面、縫い糸が摩耗により切れてしまうとソール剥離のリスクが上がってしまう弱点もあります。
さらにオールソールとなった場合は、中底に再びミシンでステッチ穴をあけながら縫い戻す必要があるため、構造的なダメージが避けられません。
そのため今回のように新品に近い状態でハーフラバーを貼っておくと、糸の保護と耐久性の底上げの両面で大きなメリットがあり、より長く安心して履いていただけます。
台形スチール(旧トライアンフ)の取り付けについて

スチールについてはお客様のご希望で台形スチールを選択。
以前は「トライアンフスチール」という名称で流通していましたが、現在は廃盤となっており、今回は別メーカーによる代替製造品を使用しています。
形状の雰囲気はそのままに、しっかり機能を引き継いだモデルです。

ただし今回の靴はオブリークトー、そして台形スチールはワンサイズしかないため、つま先すべてを覆うことはできません。
また、成形時はソール形状に合わせてスチールのはみ出す部分を削り落とす必要があります。
「ソールの最も摩耗しそうな箇所」「美観を損なわない取り付け位置」「ビス穴への干渉を避ける」の三点を満たす位置を慎重に検討して取り付けています。
ひとつのスチールでも考えることはかなり多い修理内容です。
厚みの調整

今回使用したハーフラバーは Vibram 2340(2.2mm厚)、スチールは 約1.5mm厚。
厚みに差がある場合の調整方法は業者によって色々ですが、私はスチール側に「スタック」という薄く加工された革を挟むことでフラットに揃える施工を採用しています。
仕上がり

仕上がりはいかがでしょうか。
先ほど挙げたポイントを踏まえ、機能と美観のバランスを両立できたかと思います。

レザーソールは屈曲性や履き心地が注目されがちですが、今回のような部分補強が効きやすい柔軟性の高さも魅力のひとつです。
ハーフラバー+スチールの組み合わせは耐久性と歩行時の安心感のバランスが良く、これからも長く楽しんで履いていただけると思います。
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