ジョンロブ ウィリアムという存在

ダブルモンクの王。
ジョンロブのウィリアムをそう表現することに、違和感はありません。
非常に洗練され、男性的で、そしてあまりにも有名なモデル。
もはや説明不要と言われる領域の靴ですが、それでもなお語られ続けるのは、完成度の高さゆえでしょう。
とはいえ、私はダブルモンクを一足も所持していない身。
語る資格はございません…
履き始めだからこそ、つま先には注意が必要

ソールの状態を見ると、まだ少し履かれた程度。
レザーソール自体の摩耗も軽微で、コンディションとしては良好です。
ただし、グッドイヤー製法に加えダブルソール仕様の靴は、どうしても屈曲しづらい傾向があります。
その結果、歩行時の負荷がつま先に集中しやすくなる。
もちろん、そのまま履き込んでいくのも趣のひとつです。
ただ、長く付き合う前提であれば、何かしら補強を施しておく方が安心なのは間違いありません。
スチール取り付けと革包丁

スチールを取り付ける際は、まず段差を作る必要があります。
その際に私が使うのがフィニッシャーと革包丁。
この革包丁、正直なところ手間のかかる道具です。
頻繁に研がなければならず、面倒に感じることも少なくありません。
それでも、慣れてしまえば作業性は非常に高い。
海外の職人が、日本製の革包丁をわざわざ探して購入するという話を耳にするのも、納得がいきます。
職人は年々減っていると言われますが、こうした道具と技術の文化は、どうか途切れずに残ってほしい。
皆さまの革靴ライフを下支えする仕事をしているつもりですが、
同時に、私たち修理屋もまた、多くの職人さんに支えられている。
作業の合間、ふとそんなことを考える瞬間があります。
少し個人的な話になりましたが、
私は使う道具に対して、それなりのこだわりを持っているつもりです。
仕上がりについて

では、仕上がりを。
ジョンロブのソールは、全体的に丸みを帯びた形状をしています。
そのラインを崩さないよう、スチールも靴に合わせて成形して取り付けました。
つま先部分を除けば、履き心地への影響はほぼありません。
スチール補強は好みが分かれる仕様ではありますが、抵抗がなければ有効な補強だと思います。
ツメコバと機能性のバランス

最後にコバについて。
このウィリアムのようなツメコバ仕様の靴にスチールを取り付ける場合、
基本的にはスチール部分のみ、下側のツメ(出っ張り)を落とした仕上げにしています。
理由はシンプルで、引っかかるから。
ビス留めしているとはいえスチールが外れる可能性はありますし、
つま先が引っかかった際の衝撃は、想像以上に痛い…
ツメを再現したスチール取り付けも、不可能ではありません。
その場合は、事前にご相談ください。
美観と機能性は、ときに相反します。
その狭間で悩みながら、最終的にはオーナー様のご意向に沿った、
納得できる落としどころを一緒に探していく。
それが、私の考える靴修理の在り方です。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
John Lobb(ジョンロブ)Abbott|Vibram 2340ハーフラバーとヴィンテージスチール
John Lobb(ジョンロブ)NASEBY|プレステージラインを尊重したトップリフト交換

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