エンポリオアルマーニのベルベットローファー 冬支度のためのハーフラバー+トップリフト修理
そういえば、2025年9月にファッションデザイナーのジョルジオ・アルマーニ氏が亡くなられました。
革新的な黒の表現や素材使いで世界を魅了した巨匠がまた一人いなくなってしまい、胸が痛む思いです。
そんな折にお預かりしたのが、アルマーニらしい気品を宿した黒×白のベルベットローファーでした。

冬になったので直して履きたい、とのことでお持ち込みいただいた一足。
今回はハーフラバー補強とヒールトップリフト交換を行います。
ハーフラバーの弱点と、思わぬ“落とし穴”

修理前の状態を確認すると、ハーフラバーの弱点であるつま先の削れが進行していました。
これは比較的よくある症状で、通常なら淡々と進められる工程です。
ところが——「いつも通り修理開始!」とハーフラバーを剥がした瞬間、本底までしっかり剥がれてしまうまさかの展開に。

接着剤の劣化や保管環境、素材同士の相性など、さまざまな条件が重なると、このように「別の修理箇所が突然姿を現す」ことがあります。
修理の現場では決して珍しくない、いわゆる落とし穴の一つです。

受付段階で見抜けなかった自分に少し肩を落としつつ、ここは職人として一切の手抜きなしで再接着。
今回は事前に察知できなかった責任もあるため、泣く泣くサービス対応で補強しています。
下処理から丁寧に行っているので、今後は安心して履いていただけるはずです。
ここからが本修理

気持ちを切り替えて振り出しへ戻り、使用する部材を選定しました。
採用したのは、
- CASALI ディアマンテハーフソール
- Vibram #7179 デュプラトップリフト
ディアマンテはTPU素材特有の高い耐摩耗性を持ち、ロゴなしのミニマルな意匠がベルベットの上品さを損なわない優れた選択肢です。
ドレッシーな靴と相性の良いハーフラバーとして定評があります。
トップリフトにはレディースでは王道のVibram 7179 デュプラ。
摩耗に強く、着地時の音鳴りも少なくなる扱いやすい部材です。
修理は“想定外”との向き合いの連続

色々あって正直少し疲れましたが、無事に仕上がりました。
靴修理は、靴の状態・素材・履き方・保管環境が絡み合うため、想像以上のことが起きるのは日常茶飯です。
全てを予測するのは至難の業ですが、そこで鍛え続けるのが職人の務めだと感じています。

今回は少し情けない場面もお見せしましたが、今後も受付時の状態確認を一層丁寧に行い、適正なご案内と見積もりができるよう善処してまいります。
黒と白のコントラストが美しいこのローファーが、また冬の装いに寄り添ってくれることを願っています。
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