クロケット&ジョーンズのケア(つま先鏡面磨き)

今回お預かりしたのは、クロケット&ジョーンズ(Crockett & Jones)のストレートチップ。
所謂高級紳士靴の中でも特に人気が高く、修理やケアのご依頼も多いブランドです。
スーツに合わせてビシッと決めたいというお客様の思いを受け、つま先の鏡面磨きを中心にケアを行いました。
磨き職人が増えた時代に、修理屋としてできること
前提として、修理屋である私も磨きは行えます。
ただ近年では、磨きに全力投球している靴磨き職人が数多く活躍しており、今回は技術的な細部にはあまり触れません。
そこはぜひ、専業の方々の発信を楽しんでいただければと思います。
それでも一点だけ、こだわりを挙げるなら――最初の工程である汚れ落としです。
鏡面のひび割れと下地処理

今回の靴は、以前施された鏡面がバキバキに割れていました。
これは履き込まれた証でもありますが、同時にワックスの層が厚くなりすぎている可能性もあります。
このままでは新しい鏡面が定着しにくいため、一度すっぴんの状態に戻します。
「しっかり落とす」といっても、ただリムーバーを多用するわけではありません。
私の場合、約60度の熱を与えてワックスを浮かせ、最低回数のリムーブでごっそり落とす方法を取っています。
リムーバー自体は革に良いものではなく、クロスで何度も擦ると銀面が荒れてしまうため、いかに手数を減らせるかを意識しています。

これまでにも、鏡面磨きを繰り返すうちにつま先だけ銀面が荒れ、ワックスが乗りにくくなった靴を数多く見てきました。
汚れ落としひとつを取っても、靴への負担を最小限にし、できるだけ長く履ける靴にすることを常に考えています。
ソールは交換できますが、アッパーは替えがききません。
仕上がりと所感

仕上がりはいかがでしょうか。
正直、修理屋としては「磨きの方が映える」と感じることも少なくありません。
とはいえ、日頃のケアあってこその修理です。
修理のご依頼をいただく際には、ケアもご一緒に任せていただければ、最高のコンディションでお返しできると考えています。
あとがき

今でこそ磨きは当たり前の作業になりましたが、修理業を始める前は自分の靴を磨くのが楽しくて仕方なかったのを思い出します。
たまにこうして鏡面磨きの作業に取り組むと、その頃の気持ちを自然と思い出させてくれるものです。
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