Sanders(サンダース)サイドゴアブーツ|ブロックヒール交換で適正なヒールスプリングへ

修理後のサンダース、ブロックヒールクローズアップ。アイキャッチ用。 Blog

Sanders(サンダース)サイドゴアブーツのブロックヒール交換

サンダースのサイドゴアブーツ修理前俯瞰

イギリス軍御用達ブランドとして知られるSanders(サンダース)。
質実剛健なつくりと、履き込むほどに現れる無骨な表情が魅力です。
今回はそのサイドゴアブーツのヒール交換を行いました。

厚みのあるブロックヒール仕様

元のブロックヒールが取れてしまっている様子

ブロックヒールが剥がれており、さらにヒール自体の磨耗も進行していたため交換を実施。
このブロックヒールはリーガルの靴で多く見られる仕様で、厚さは約20mm。
履き始めからしばらくの間は修理の心配をせずにガシガシ履ける耐久性があります。
ただし厚みがあるぶん、取り付け角度を誤ると歩行時に違和感が出るため、慎重な調整が必要です。

ヒールスプリングとは?

部材を合わせている様子1。角度が合わない状態
部材を合わせている様子2。加工なしではヒールスプリングが狂う

ヒール交換において特に重要なのが「ヒールスプリング」。
これは靴を履いた状態で母趾球を地面につけた際、かかとがどれほど浮いているか──つまりヒール部分の高さや角度を指します。
写真の通り、部材をそのまま取り付けると角度が不自然になり、ヒールが反り返って歩きにくくなってしまいます。

ヒールスプリングを整えるための加工

ヒール部材をカップ状に削り加工している様子
適正なヒールスプリングに修正した状態

靴側の構造を極力変えずに仕上げるため、今回は部材の接着面をカップ状に削り、角度を修正しました。
靴を置いた際にヒール最後部が地面とどれほど離れているかを確認しながら、少しずつ適正なスプリングに整えていきます。
この値は靴の種類によって異なるというのが持論ですが、今回は自然な反りを再現できたと思います。

自然な角度と厚みを取り戻す

修理後のサンダースサイドゴアブーツ俯瞰

仕上げにはオリジナルと同厚のブロックヒールを使用。
厚み・角度ともに安定感が戻り、履いた際の重心も自然に感じられる仕上がりになりました。

修理後ヒール部分のクローズアップ

無骨でありながら理にかなったサンダースの造り。
その堅牢さを生かすには、角度も厚みも「ちょうどいい」状態であることが肝心です。
また日常の相棒として、安心して踏み出していただける一足になったと思います。


フィニッシャーのバフを写したポラロイド写真

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