ベージュスエードは扱いが難しい…
前提として淡いベージュのスエードは、黒やダークブラウンと違い補色作業の成果が出づらい素材です。
同業者の方なら頭を抱えたことが一度はあるはず…
今回お預かりしたサイドゴアブーツは、受付の段階で「思ったよりきれい」と感じるほど状態は良好でしたが、オーナー様のご希望もありより綺麗な状態を目指す内容です。

状態確認と方針
トゥやサイドに軽い黒ずみ、全体的には毛並みが寝てやや乾いた印象。
とはいえ、目立つ汚れやシミがあるわけではなく、日常使用による軽いくすみや素材の乾きを中心に整えるイメージでクリーニングを行いました。

使用したケア用品
・SAPHIR NOIR オムニローション
・TARRAGO ヌバックスエードクリーナー

・SAPHIR スエードヌバックスプレー(ライトブラウン)

部分的な黒ずみにはTARRAGOで軽く馴染ませ、全体はオムニローションで洗浄。
泡立ちを保ちながらブラシで毛並みを起こすように動かすのがポイントです。

洗浄後の変化
クリーニング直後は濡れ色で一時的に濃く見えますが、乾燥が進むと自然な明度に戻ります。
乾燥後にスエードヌバックスプレーで軽く補色すると、全体のトーンが均一になり、 指で撫でた際の「柔らかさ」や「弾力」が明確に戻りました。

写真では劇的な差は見えにくいものの、実際には繊維の方向が整い、 淡いベージュ特有の“ふわりとした陰影”が再び感じられます。
仕上がりとまとめ
明るいスエードほど、変化は視覚より触感に現れます。
ほんのりとした艶と柔らかさが戻るだけで、靴全体の印象は驚くほど軽やかになります。

なお、今回使用したケア用品はいずれも一般に手に入るものです。
手順も難しいものではありませんので、興味のある方はぜひご自身でも試してみてください。
ただし、実際のクリーニングでは、ここに書ききれない細かなテクニックも取り入れています。
ベージュやライトブラウンのスエードは、定期的なブラッシングとスプレーによる油分補給で長く柔らかい表情を保てます。
汚れが目立つ前のケアこそが、美しさを育てる第一歩です。




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