トリッカーズ バートンのオールソール

イギリス靴の大定番、トリッカーズのバートン。
以前にもこの靴はブログでご紹介しましたが、今回はオールソール修理の記事となります。
カントリーシューズの代表格とも言える一足ですが、しっかり履き込まれてこそ魅力が増す靴でもあります。
長く付き合う靴だからこそ、修理のタイミングと内容はとても重要になってきます。
しっかり履き込まれた一足

こちらのお靴は以前にもオールソール歴があるそうですが、そこからさらに履き込まれ、再びそのタイミングを迎えたようです。
つま先には一度トーラバー補修が施されており、細かな修理を交えながら履かれてきたことがわかります。
ラバーソールのオールソールは、ひと言で「この状態になったら」という判断が難しいところがあります。
例えば次のようなタイミングが目安になることが多いでしょう。
- 接地面に穴が空いた
- パターンが摩耗してグリップ力が低下してきた
- コバが摩耗してウェルトに差し掛かるほど薄くなってきた
- 経年劣化による硬化やひび割れが見られる
- アウトソールの縫い糸が切れてソールが剥がれ始めている
など、複数の要因が重なって修理を検討するケースがほとんどです。
これらの症状が複数見られてきた場合、アウトソールだけでなく靴全体の構造にも徐々に負担がかかり始めている可能性があります。
そういった段階でオールソールを検討すると、ウェルトやアッパーへのダメージを最小限に抑えながら修理できることも多く、結果的に靴をより長く履き続けられる場合もあります。
レザーソールと比べると部分修理が効きにくい側面もありますが、その分ラバーソールは非常に頑丈です。
しっかり履き込んで、修理はオールソールでリフレッシュする。
これもまたラバーソールの自然な付き合い方なのかもしれません。
ダイナイトソールでオリジナル仕様に

さっそく仕上がり後の写真です。
今回はオリジナルと同様、ダイナイトソールを選択しました。
ハルボロラバー社の代表的なソールで、その原型が世に登場したのは約100年前とも言われています。
イギリス靴を中心に、ドレッシーなラバーソールといえばこれ。
そう言っても過言ではないほど定番の存在です。
凹凸のあるスタッドパターンはグリップ力を確保しながらも、見た目はあくまで落ち着いた印象。
ラバーソールでありながら品格を損なわない点が、長年支持されている理由でしょう。
ラバーソールに実用性と上品さを求める方には、非常におすすめできるソールです。
ミッドソール交換でトリッカーズらしい厚みへ

今回はアウトソールだけでなく、ミッドソールも交換しています。
ミッドソールはアウトソールとアッパーの間に入るパーツで、靴の厚みや剛性に関わる重要な部分です。
トリッカーズらしい厚みのある構造が戻り、全体の面構えもぐっと引き締まりました。
カントリーシューズらしいボリューム感は、こうした部分の積み重ねで成り立っています。
また、コバはフラット仕様で仕上げています。
ドレス寄りの靴では、コバ全周の角度が地面に対して垂直になるよう意識して整えていきます。
見た目はシンプルですが、実際に作業してみると奥行きのある工程のひとつです。
ダイナイトヒールで全体を引き締める

ヒールももちろんダイナイトヒールで仕上げています。
ヒールは積み上げごとの交換となるため、修理後は後ろ姿もシャキッと締まった印象になります。
こうした部分が整うと、靴全体のバランスも自然と整って見えるものです。
次の修理としては、おそらくトップリフト交換のタイミングになるでしょう。
しばらくは安心して履いていただける状態です。
長く履かれる靴には理由がある

トリッカーズのバートンは、流行の波とは少し距離を置いた存在かもしれません。
それでも長い年月を経てなお多くの人に履かれ続けているのは、やはり理由があるのでしょう。
履き込めば履き込むほど味わいが増し、
そして必要なタイミングで修理を施すことで、また次の年月へとつながっていく。
そんな循環が自然と生まれる靴なのだと思います。
今回の一足も、これからまた長い付き合いになりそうですね。
関連記事は下記リンク先をご参照ください。
Tricker’s(トリッカーズ)バートン|ダイナイトヒールの交換修理と仕上げの考え方
Tricker’s(トリッカーズ)チェルシーブーツを純正仕様でオールソール|グッドイヤーソールで“らしさ”を再構築

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