Sergio Rossi(セルジオロッシ)のフラットパンプスにつま先補強|トーラバーで摩耗対策

セルジオロッシのローファーにつま先補強としてトーラバーを埋め込んだ施工後 Blog

セルジオ ロッシ(Sergio Rossi)のフラットパンプス

セルジオロッシのフラットパンプス。修理前の俯瞰写真。

先日、エムエークロスの記事を投稿しましたが、今回お預かりしたのはそのオーナー様の奥様からのご依頼品です。
ご夫婦でそれぞれ良い靴を選び、きちんと手を入れながら履かれている様子が伝わってきて、なんだかとても素敵だなと感じました。

私は修理屋の端くれですので大きなことを語る立場ではありませんが、日頃から修理や手入れを重ねながら靴と付き合う習慣、文化のようなものが、もう少し広がっていけば良いなと思っています。
SDGsのような大きな言葉を持ち出すまでもなく、純粋に物の経年変化を楽しみ、そこに愛着を持てるという感覚は、それだけで十分に豊かなことだと思います。

以前手を入れた靴が、再び戻ってくるということ

トーラバー施工前のセルジオロッシ前足部ソールの摩耗状態

今回のセルジオ ロッシは、以前に1mm厚のハーフラバーを取り付けた一足です。
自分が関わった靴が再び戻ってきてくれるのは、やはり嬉しいものですね。そして何より、変な剥がれや不具合が起きていなかったことに少し安心しました…

とはいえ、今回はつま先部分の摩耗が進んできており、早めに対策をしておきたいということでご相談をいただきました。

ハーフラバーを活かし、つま先だけを補強する

ハーフラバー自体は、まだ溝やパターンがしっかり残っており、交換のタイミングではありません。
そこで今回は、つま先部分のみを補強する「トーラバー」を埋め込む方法を選択しました。

トーラバーの構造と狙い

トーラバーの二層構造 接着層と耐摩耗TPU層の断面が分かる部材

トーラバーは2〜3mm程度の傾斜を持った板状の部材で、二層構造になっています。
写真はベージュ部材ですが、薄い色の層が接着面、濃い色の層が耐摩耗性に優れたTPU素材です。
摩耗しやすいつま先部分を、もう一段しっかり守ることができる補強材と言えます。

レディース靴ならではの制約と、細かな仕込み

セルジオロッシのトーラバー施工工程 前足部をマスキングした状態

レディース靴はレザーソールが極薄なことが多く、残念ながらトーラバー単体での取り付け不可なケースも少なくありません。
ただ今回は、すでに1mmのハーフラバーが付いていること、加えて元のソール自体も比較的厚みがあったため、うまくはめ込めそうだと判断しました。

コバのV字ラインを崩さない

セルジオ ロッシの靴に多く見られますが、正面から見るとコバがV字を描くような独特のラインをしています。
その形状を崩さないよう再現することも、今回のポイントのひとつでした。

傾斜に合わせた接着面の作り込み

また、トーラバー自体がわずかに傾斜した形状のため、ソール側もその角度に合わせて仕込む必要があります。
こうした細かな調整が積み重なり、見た目と実用性のバランスを取っていきます。

仕上がり

トーラバー施工後のセルジオロッシローファー 前足部中心の完成状態

仕上がりとしては、大きな違和感は出ていないのではないかと思います。
コバの角度も意識的に内振りに整え、全体のラインを損なわないようにしています。

ソール先端については、厚みのおよそ3分の2程度がトーラバーに置き換わっている状態です。
これにより、以前よりも摩耗を気にせず履いていただけるはずです。

靴ごとに異なる「最適解」を探す

トーラバーを装着したセルジオロッシローファーのサイドシルエット

今回は実用性を重視した内容となりましたが、先に触れた通り、どの靴にも同じ作業が当てはまるわけではありません。
場合によっては、まったく別の方法の方が適していることもあります。

靴の種類は本当にさまざまです。
明確な正解があるというより、その靴に無理のない方法を探し続ける作業に近いのかもしれません。

関連記事は下記リンク先をご参照ください。

Roger Vivier(ロジェヴィヴィエ)の靴底修理|前方継ぎ足しとハーフラバー補強

Emporio Armani(エンポリオアルマーニ)ローファー|ベルベットの風合いを守るハーフラバー+トップリフト修理


壁面に吊るされた修理工具が並ぶ作業場の一角

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